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南アルプス・鳳凰三山・薬師岳に登りました。山の朝夕は寒い位の温度でした。昼間と朝・夕の温度差に驚きます。
上の写真は午前4時半頃の太陽が雲に遮られてますが朝日が昇る時の山小屋近くからの写真で、下の写真は薬師岳に行く途中の富士山の写真です。雲海が素晴らしかったです。 

令和6年(ネ)第10074号損害賠償請求事件
(原審:令和5年(ワ)第70407号)

第6815560号特許発明は、

「【請求項1】
 
シート状部材を有して構成され、
 電子タバコの長手方向を第1方向としたとき、前記シート状部材に前記第1方向に沿って切込みが形成され、
 前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫通しない深さで形成されている電子タバコ用充填物。」
です。

     111: 電子タバコ用充填物  F: 切込み

本件訴訟において、
一審の東京地裁でも、二審の知財高裁でも、
被告製品は構成要件B「切込み」を充足せず、本件発明の技術的範囲に属しないものと判断する。

その理由は、次のとおり当審における争点1-1についての控訴人の補充的主張に対する判断を加えるほか、原判決「事実及び理由」の第3の1(24頁~)の説示のとおりであるから、これを引用する。

1 特許発明の技術的範囲は、願書に添付された特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず(特許法70条1項)、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとされている(同条2項)。

控訴人は、原判決が、構成要件Bの「切込み」の意義について、本件明細書の特定の記載に限定して考慮したものであり、特許請求の範囲の記載自体からは「切込み」の形成手段等が明らかでないとすれば、「切込み」の形成手段を特定のものに限定すべき理由はない旨主張する。

しかし、原判決は、特許請求の範囲における構成要件Bの「切込み」の意義が明らかでないことから本件明細書の記載全体を参酌してこれを解釈したものであって、一般的な意味が明らかなものについて本件明細書の特定の記載に限定して考慮したわけではないから、控訴人の主張はその前提を欠くものである。

2 控訴人は、各辞書の記載によれば、「切込み」は、「切目」(きれーめ、きりーめ)と同義の名詞であり、「切れたところ」を意味し、刃物を用いなくても「切れたところ」が形成される場合があることは自明である旨主張する。

各種辞書の「切込み」に関連する事項の記載は、第3の1(2)アにおいて控訴人が主張するとおりであるが、「切込み」については、切り込む(()())、「切り目を入れる」(())、「切る」(())という能動的な行為が想定され、さらに、それが刃物によることを明示する例が複数存在する(()())。また、「切目」(きれーめ)と、「切目」(きりーめ)を比較すると、後者が、より「切る」行為と結び付けられているところ、「切込み」について参照されているのは「切目」(きりーめ)の方である(()())。

このようなところからすれば、各種辞書の記載から、「切込み」とは、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味するとした原判決の説示は、相当なものである。

3 控訴人は、本件明細書に記載されたカッター刃、カミソリの刃、ロータリーカッター等は例示にとどまる旨主張する。しかし、前記2の「切込み」の辞書的意義と、本件明細書において刃物以外による「切込み」の形成手段について記載も示唆もないことに鑑みれば、当業者は、「切込み」が前記2のような意味を有すると理解すると解されるから、控訴人の主張は採用できない。(宇高は斯の個所の論理は不適切だろうと考えてます。

4 被告製品において、たばこスティック(ロッド)の長手方向に沿ってたばこ基体の表面に略平行に3本形成された筋状部分は捲縮加工工程における捲縮条件を制御することにより形成されたものであり、刃物によって形成されたものではないから、被告製品は構成要件Bを充足しない

斯の判決を読んで不思議に思わないでしょうか?
宇高は「切込み」の上位概念の適切な単語が見出せなかったが故に、「切込み」を使用したに過ぎないであろうと考えました。

だから、宇高は、原告・控訴人が、何故、「均等論」を主張しなかったのだろうと不思議でした。

「切込み」が、カッター刃に拠って出来たものであろうが、捲縮加工に拠って出来たものであろうが、その作用・効果は同等である旨を、何故、主張しなかったのだろうと不思議でした。

均等論を主張すれば、原告・控訴人が勝訴したのにと不思議でした。

ところで、裁判所は、全く、取り上げていなかったのですが、

被告は、
「切込み」に関する原告・特許出願人の意見書においての主張『引用文献1には、本願発明のシート状部材を貫通しない「切込み」についての開示はありません。引用文献1には、シート状部材を貫通しない窪み等に関し、均質化タバコ材料のテクスチャ加工シートは、複数の離間した窪みを含む点(段落0031など)、均質化タバコ材料のテクスチャ加工シートに実質的なリッジまたはコルゲーション(段落0033など)が形成される点が記載されています。しかし、引用文献1には、窪み、リッジ、コルゲーション等が切込みとして形成される点、例えば、窪み等が、シートをカッター等により切断して形成される点の開示や示唆は存在しません
を主張しております。

この被告の主張が裁判官によって採り上げられたか否かは明確では有りませんが、
東京地裁も知財高裁も、原告・特許出願人の意見書においての主張から、被告の製品は『刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成』に該当しないと判断したのだろうと思われます。

そして、本件特許出願に際しての意見書における特許出願人・原告の主張に基づけば、「辞書の記載から、「切込み」とは、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味」と言った「言葉遊び」しなくても済んだと思うのですが…

意見書における特許出願人の主張を鑑みますと、原告・控訴人が均等論を主張しなかったのも頷けます。

なぜならば、均等論を主張した時点で、被告・被控訴人は均等の第5要件「対象製品等が特許発明の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がな いこと(特段の事情)」を持ち出し、均等論は成立せずとの結論になったでしょうから…。

宇高は、均等論を主張しなかった時点で、即ち、訴訟を提起しようと考えた時点において、原告・控訴人は本件訴訟に勝ち目が無い事を理解していたであろうと思うのですが…

尤も、宇高は原告が上記の点を必ず検討したと思うのですが、どうもそうではなさそうです。

なぜならば、宇高は、原告・特許権者が上記の点を検討していたならば、勝訴は難しい事を理解・提訴しなかったのではと思うからです。

尚、拒絶理由通知に際して、特許出願人・代理人が『引用文献1には、窪み、リッジ、コルゲーション等が切込みとして形成される点、例えば、窪み等が、シートをカッター等により切断して形成される点の開示や示唆は存在しません。』を主張してます。斯の主張は、特許を勝ち取る為には主張せざるを得なかっただろうと宇高は考えます。

なぜならば、宇高は、上記主張をしなかった場合には、本願発明の「切込み」と引用文献1の「窪み、コルゲーション等」は同等と見做され、本件特許は成立しなかっただろうと考えるからです。

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