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大日本除虫菊株式会社(金鳥)が、アース製薬株式会社に対して、特許第7026270号特許権を侵害されたとして訴えた特許権侵害訴訟

 特許第7026270号の特許発明の内容は次の通りでした。

【請求項1】

 害虫防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤を封入してなる定量噴射バルブが設けられた耐圧容器と、

 前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンと、

を備えた蚊類防除用エアゾールであって、

 前記害虫防除成分は、メトフルトリン及び/又はトランスフルトリンであり、

 前記エアゾール原液は、前記害虫防除成分を14.3重量%以上含有し、

 前記噴射ボタンを1回押下したときの噴射容量が0.1~0.4mLとなり、

 前記噴射距離20cmにおける噴射力が25において0.3~10.0g・fとなるように調整され、

 前記エアゾール原液は、前記噴射口から、少なくとも一部が処理空間内における蚊類が止まる露出部に付着する付着性粒子として噴射され、

 前記エアゾール原液を処理空間に1回噴射した場合、前記害虫防除成分の噴射量が4.5~8畳あたり5.0~30mgに調整される蚊類防除用エアゾール(但し、自動噴霧装置本体に装着されてなる蚊類防除用エアゾールを除く)。

 

 東京地裁は「付着性粒子」は、噴射から時間がたっても壁や床に付着した状態を維持し、蚊を駆除できるものを指すと捉えられると指摘し、付着の量などの確認方法の記載が見当たらず、特許の権利が及ぶ範囲が第三者からはっきりしないことから、第7026270号特許発明は「不明確で無効とされるべきだ」との判断を示したとの報道がなされております。

 

 本件判決書が未だ公開されていないので詳細な検討は出来ておりませんが、宇高の考えを以下に述べます。

 本件特許発明の明細書には下記の記載が有ります。

【0046】

  [付着性粒子]

 図1(b)に示されるように、エアゾール原液を処理空間に1回噴射すると、付着性粒子X、及び浮遊性粒子Yが形成される。図1(b)において、白丸で示されているものが付着性粒子Xであり、黒丸で示されているものが浮遊性粒子Yである。両者の粒子径は異なっており、付着性粒子Xの方が浮遊性粒子Yより大きな粒子径として形成される。付着性粒子Xの好ましい粒子径は、25、噴射距離15cmにおける体積積算分布での90%粒子径が20~80μである。この範囲であれば、エアゾール原液が処理空間に噴射された際、速やかに処理空間内の露出部に移動し、付着することができる。そのため、露出部に止まっている蚊類を付着性粒子Xの害虫防除成分によってノックダウン又は死滅させることができる。また、処理空間内に侵入し、露出部に止まろうとしている蚊類に対しても害虫防除効果を奏するため、処理空間外へ追い出すことも可能となる。粒子径が20μm未満であると、粒子径が小さすぎるため、露出部まで到達することが困難となり、その結果、露出部に止まっている、あるいは、止まろうとしている蚊類を防除することが困難となる。一方、粒子径が80μmを超えると、粒子径が大きすぎるため、付着性粒子の挙動をコントロールし難くなり、露出部に適切に付着させることが困難となる。付着性粒子Xのより好ましい粒子径は、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での90%粒子径25~70μmである。

【0047】

 また、付着性粒子Xの好ましい付着量は、処理空間内の露出部に1m2当たり0.01~0.4mgであり、好ましくは、1m2当たり0.05~0.2mgである。このような範囲であれば、露出部に止まっている蚊類を効果的にノックダウン又は死滅することができる。付着量が1m2当たり0.01mg未満であると、露出部に止まっている蚊類に対し充分な防除効果を奏することができず、蚊類をノックダウン又は死滅させることが困難となる。一方、付着量が1m2当たり0.4mgを超えても、害虫防除効果は大きく向上することはなく、また、エアゾール原液の使用量も過大となるため、経済的にも不利である。

 

 本件特許発明の発明者は、害虫防除成分を、空中に浮遊させるよりも、壁などに付着させた方が効果的である事に気付いて発明がなされた旨が記載されております。

 すなわち、発明のポイントに気付いていたと宇高は考えております。

 それなのに、どうして、上記請求項1の如きの権利になってしまったのでしょうか。

 宇高が担当していたならば、下記の請求項を作成したでしょう。

【請求項1】

 害虫防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤を封入してなる定量噴射バルブが設けられた耐圧容器と、前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンとを具備してなり、

 前記害虫防除成分はメトフルトリン及び/又はトランスフルトリンであり、

 前記エアゾール原液は、前記害虫防除成分を14.3重量%以上含有し、

 前記エアゾール原液が前記噴射口から噴射されて前記害虫防除成分が蚊類が止まる露出部(壁および/または天井)に付着してなる

蚊類防除技術。

【請求項2】

 害虫防除成分を(14.3重量%以上?)含有するエアゾール原液が噴射されて前記害虫防除成分が蚊類が止まる露出部(室内の壁および/または天井)に付着してなる

蚊類防除技術。

【請求項3】

 蚊類防除用薬剤成分が室内の壁および/または天井に付着するように蚊類防除用薬剤成分含有組成物が室内で噴霧されて蚊類が防除される技術(?)であって、

 25℃で噴射距離15cmにおける体積積算分布での90%粒子径が20μm以上である(よう調整されてなる)

蚊類防除技術。

【請求項4】

 蚊類防除用薬剤成分が室内の壁および/または天井に付着するように蚊類防除用薬剤成分含有組成物が室内で噴霧されて蚊類が防除される技術(?)であって、

 蚊類防除用薬剤成分含有組成物(蚊類防除用薬剤成分)の付着量が1m2当たり0.01mg以上である

蚊類防除技術。

【請求項n】

 25m3の部屋での蚊成虫に対する防除効果(閉めきった25m3の部屋の中央で蚊類防除用エアゾールを1回噴射した直後にアカイエカ雌成虫50匹を放ち、20時間(?)暴露させた後で供試蚊を回収した。時間経過に伴い落下仰転したアカイエカ雌成虫を数え、KT50値を求めた。)がxxxx以下である

請求項1~  の蚊類防除技術。

 

 もちろん、明細書中には、「粒子径の測定方法」、「蚊類防除用薬剤成分含有組成物(蚊類防除用薬剤成分)の付着量の測定方法」を記載してます。測定方法の違いによって測定値の値が異なるので、測定方法の明記は必須です。宇高の特許明細書の書き方を参考にしてれば当たり前です…

 

 しかるに、本件特許発明の内容が分散している(請求項1に記載の文章が長すぎる)為に、害虫防除を効果的に奏させる為の付着量や粒径に気を向けなかったようです。残念ですね。

 11月22日(土曜日)は強風故に登山指数がCでしたが、23日(日曜日)は登山指数がAでしたので、23日に初冬の那須岳に登って来ました。アイゼンを持って来るのを忘れていた為、登る時は然程の苦労はなかったのですが、下る時は注意が必要でした。

 皆様は下記二つの商標が似ているか似ていないのどちらにお感じになられますか?

 特許庁は、大きな文字で目立つ「けやき」と「KEYAKI」とが、共に、称呼が「ケヤキ」である為、両者が類似と判断しましたが…

 さて、飲食物の提供の分野では「けやき」がありふれた店舗名である事を主張した出願人の勝利です。
 すなわち、「けやき」「KEYAKI」は類否に大きな影響力はないと判断されました。
 

令和7年(行ケ)第10050号 審決取消請求事件

主文

1 特許庁が不服2024-5348号事件について令和7年3月25日にした審決を取り消す。

第4 当裁判所の判断

1 取消事由(商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り)について

(1) 商標法4条1項11号における商標の類否判断の基準商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、その判断に当たっては、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。

また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。ただし、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、商標の外観等に照らし、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者がこれを分離して理解・把握し、当該構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられる場合など、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。

そして、上記のとおり、商標の構成部分の一部を抽出して当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合においても、分離して観察される部分の出所識別標識としての機能には自ずと強弱があるのであるから、一律に当該部分だけに着目して商標の類否を判断するのは相当でなく、当該部分の出所識別標識としての機能が弱い場合においては、他人の商標と外観、称呼及び観念の全てが一致しているときは格別、そうでないときには、他の構成部分も考慮した上で、対比される両商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを判断するのが相当である。

(2) 本願商標及び引用商標の構成について

……これに対し、「KEYAKI BEEF TONGUE」部分の文字及び本願図形部分2の「欅」の文字部分は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、本願文字部分のうち上段「牛たん」部分及び中段「けやき」部分は、下段「KEYAKI BEEF TONGUE」部分及び本願図形部分2から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、これを分離して理解・把握すると認められる。

 さらに、「牛たん」の文字部分と「けやき」の文字部分は、二段に配され、「けやき」は、「牛たん」に比して大きめの文字で表記されているため、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、「けやき」の文字部分を分離して理解・把握するといえる。

 そして、「けやき」の文字部分は、ニレの落葉高木であるケヤキ(以下「本件樹木」という。)の名称として知られるものあり(甲7)、本願商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを本願商標の要部として、当該部分を引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される。一方、「KEYAKI BEEF TONGUE」の文字部分及び本件図形部分2の「欅」の文字部分は、上記のとおり、取引者、需要者が、注意深く観察しなければ読み取ることが困難であるから、独立した出所識別標識としての機能を果たすとはいえず、本願商標の要部にはなり得ない。

……引用商標のうち、引用文字部分と、引用図形部分とは、視覚上、上下に重なることなく配置されていることに加え、上側の引用図形部分は図形、下側の引用文字部分は文字であるから、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者は両者を分離して理解・把握すると認められる。

 また、引用文字部分のうち、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分に比して、顕著に大きく、明瞭に識別することができるように表示されている。

 これに対し、「JAPANESE」「CUISINE」の文字は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、引用文字部分のうち「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者はこれを分離して理解・把握すると認められる。

 加えて、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、前記アで述べたとおり、本件樹木の名称として知られるものであり、引用商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを引用商標の要部として、当該部分を本願商標と比較して商標の類否を判断することも許される。

(4) 本願商標と引用商標の類否

……本願商標の「けやき」との文字部分は、前記(3)アで述べたとおり、出所識別標識としての機能を一定程度有しているといえる。一方、証拠(甲10~12)によれば、全国の飲食店が掲載されている飲食店検索サイトにおいて、キーワード「けやき」で検索した場合には2648件、キーワード「ケヤキ」で検索した場合には289件の飲食店が該当すると認められ、全国において、本件樹木の名称を指す店名(「欅」「けや木」「KEYAKI」等)を付した飲食店は相当数存在することが認められる。そうすると、本件樹木の名称は、飲食店の店名に比較的よく使用されるものとして、取引者、需要者に知られているものと推認されるから、指定役務である「飲食物の提供」との関係において、「けやき」の文字部分の出所識別標識としての機能は弱いものと言わざるを得ない。

 そして、本願商標の「けやき」の文字は、線同士が交差する部分の一部に空白を設けた特徴のあるデザインのひらがな3文字で構成されるのに対し、引用商標の要部である「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、欧文字6文字及び筆書き風の漢字1文字で構成されており、両者は構成する文字数、文字の種類及びデザインが異なるから、外観において明らかに相違する。

 したがって、本願商標と引用商標の類否を判断するに当たっては、本願商標の「けやき」の文字部分以外の構成部分も考慮した上で、本願商標と引用商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを検討する必要がある。

イ 本願商標の「けやき」の文字部分と、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分の外観が相違することは、上記ア()で述べたとおりである。

 次に、本願商標の「けやき」の文字部分からは、「ケヤキ」の称呼を生じるのに対し、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からも、「ケヤキ」の称呼を生じ、称呼においては、いずれも同一である。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」の文字部分も勘案すれば、本願商標からは、「ケヤキ」のほか、「ギュウタンケヤキ」との称呼も生じ、この称呼については、「ギュウタン」との音の有無によって引用商標とは語感が異なるから、称呼において相違するといえる。

 さらに、本願商標の「けやき」の文字部分並びに引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からは、いずれも本件樹木の観念を生じる。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」との文字部分も勘案すれば、本件樹木のほか、「牛たんを提供するけやきという名称の飲食店」との観念も生じ、この観念については、引用商標と相違する。

ウ 以上を踏まえて、本件商標と引用商標の類否について検討するに、 本願商標と引用商標は、外観において異なることに加え、本願商標から生じる2つの称呼及び観念のうち一方は、引用商標と異なる。これらを総合すると、取引者、需要者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本願商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。

(5) 小括

 以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項11号に該当しないから、本件審決には取消事由がある。

           知的財産高等裁判所第4部

 

 田部井淳子さんの映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」を見て来ました。もう何十年も映画館に足を運んだ事が有りませんでしたが、連れ合いが見に行こうと言う事で見に行ったのです。何が何でもエベレスト登頂を目指し、また、癌に掛かっても富士山に登る彼女のポジティブな生き方には見習わなきゃと思いました。

 一歩一歩足を出して行くだけで、いつかは登頂です。
 宇高も一歩一歩前に進んで行きます。

 

 

 

 

 高速道路の料金所において、ETCカードを差し込み忘れていた場合に、
  宇高は、

 「ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段
に出会った事がなかったので、
 本件訴訟において、特許権者を勝訴させた一審・東京地裁の裁判官は、どんな論理展開をしたのだろうかと令和5年(ワ)第70079号判決書を探したのですが、残念な事にネットでは見付かりませんでした。

 ネットで判決書を長い間に亘って見る事が出来るようにして欲しいですね。
 長い間に亘って見られるようにしていると不都合が起きるのでしょうか。
 
変な判決書を書くと恥ずかしいとなって立派な判決書を書く為の動機付けになると宇高は思うのですが…

 ところで、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段を備えた料金所が有ったから、一審・東京地裁は特許権者を勝訴させたのでしょうか?

 宇高もETCカードを差し込み忘れて料金所に進んでしまった事が有りました。
 しかし、こんな時バックさせると事故の元ですから、NEXCOが「ETC車専用出入口手前へ戻るルート」を採用する筈がないと宇高は思うのですが…。バックさせて事故が起きたら、NEXCOが損害を負担するのでしょうかね。
 又、ETCカードの差し込み忘れなんて多くはないレアケースの為に、コストが掛かる「一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導」も、採用する筈がないと宇高は思うのですがね…。

 誰がみても、本件特許訴訟で特許権者が勝訴する筈がなかったと宇高は思います。

 だから、知財高裁で引っ繰り返ったとは言うものの、一審・東京地裁で特許権者が勝訴だったとは面白い裁判だったでしょうね。反面、被告は怒り狂ったでしょうね。

令和7年(ネ)第10043号 損害賠償請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和5年(ワ)第70079号)

         控訴人     中日本高速道路株式会社
         被控訴人    有限会社PXZ

主 文
1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2 上記の部分につき、被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は第1、2審を通じて被控訴人の負担とする。

 事実及び理由

第2 事案の概要等(略語は特記するもののほか原判決の例による。)

1 請求の要旨
 本件は、発明の名称を「車両誘導システム」とする特許第6159845号の特許(本件特許)に係る特許権(本件特許権)の特許権者である被控訴人が、原判決別紙物件目録記載1~5の各システム(被告各システム)が本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る各発明(本件各発明)の技術的範囲に属するから、控訴人による被告各システムの使用は本件特許権を侵害する行為であると主張して、控訴人に対し、民法709条に基づき、特許法102条3項により算定された損害として、6億6860万5594円並びにうち3億4352万3659円(本件特許権の登録日である平成29年6月16日から平成29年法律第44号による改正後の民法の施行日の前日である令和2年3月31日までの被告各システムの使用により生じた損害)に対する令和2年3月31日から支払済みまで改正前民法所定の年5%の割合による遅延損害金及びうち3億2508万1935円(同改正後の民法の施行日である令和2年4月1日から本件請求に係る侵害期間の最終日である令和4年9月30日までの被告各システムの使用により生じた損害)に対する令和4年9月30日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

 原審は、2億6744万2241円及びこれに対する令和4年9月30日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で被控訴人の請求を認容した。

 これに対し、控訴人が原判決を不服として控訴を提起した。

 特許第6159845号
【請求項1】
 有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに設置されている、ETC車専用出入口から出入りをする車両を誘導するシステムであって、
 前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに出入りをする車両を検知する第1の検知手段と、
 前記第1の検知手段に対応して設置された第1の遮断機と、
 車両に搭載されたETC車載器とデータを通信する通信手段と、
 前記通信手段によって受信したデータを認識して、ETCによる料金徴収が可能か判定する判定手段と、
  前記判定手段により判定した結果に従って、ETCによる料金徴収が可能な車両を、ETCゲートを通って前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに入る、または前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアから出るルートへ通じる第1のレーンへ誘導し、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段
と、を備え、
 前記誘導手段は、前記第1のレーンに設けられた第2の遮断機と、前記第2のレーンに設けられた第3の遮断機と、を含み、
 さらに、前記第2の遮断機を通過した車両を検知する第2の検知手段と、前記第3の遮断機を通過した車両を検知する第3の検知手段と、を備え、
 前記第1の検知手段により車両の進入が検知された場合、前記車両が通過した後に、前記第1の遮断機を下ろし、前記第2の検知手段により車両の通過が検知された場合、前記車両が通過した後に、前記第2の遮断機を下ろすことを特徴とする車両誘導システム。

 第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は、被告各システムは本件各発明の技術的範囲に属さないから、控訴人が被告各システムを使用することは、被控訴人の特許権を侵害する行為には当たらず、被控訴人の請求には理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおりである。

 (4) 小括
 以上に検討したとおり、被告各システムは、いずれも、「ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段を備えておらず、本件各発明の構成要件Fを充足しない。

4 結論
 以上によると、その余の争点について検討するまでもなく、被控訴人の請求は理由がないから全部棄却すべきところ、これを一部認容した原判決は失当であり、本件控訴は理由があるから、原判決中控訴人の敗訴部分を取り消した上、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。
          知的財産高等裁判所第1部

二重瞼(ふたえ瞼)特許権(特許第3277180号)侵害訴訟事件

 

特許第3277180号

【請求項1】延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材に、粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用テープ。

【請求項9】延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した糸状部材に粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用糸。

 出願時のクレイム
【請求項1】弾性的に伸縮する細いテープ状部材に粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用テープ。

【請求項2】上記テープ状部材を、延伸可能でその延伸後に弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した請求項1の二重瞼形成用テープ。

外付けHDD意匠権侵害訴訟事件

特許庁は知的財産高等裁判所の判決を受けて商品と役務との類否判断を変更するか?

令和6年(行ケ)第10056号 審決取消請求事件

 元旦は箱根・金時山を歩き、二日は沼津アルプスを歩き、三日は伊豆大仁・城山~発端丈山を歩き、令和7年の正月・三が日は山登りの健康三昧な毎日でした。金時山からは富士山を望めませんでしたが、沼津アルプスや発端丈山からは見事な富士山を望む事ができました。さすがに日本一の山です。

 さて、知的財産高等裁判所第3部は、商品「A」と役務「商品Aの貸与」とが類似する旨の判決を下しました(令和6年(行ケ)第10056号 審決取消請求事件(令和7年12月1日判決言渡))。

 この判決を受けて、特許庁は、商品「A」と役務「商品Aの貸与」とは、商品「A」の種類を問わず、全てにおいて、類似と判断するだろうか?

 建設機械や複写機などの事務用機器に関しては、商品と役務とは類似として取り扱っていたでしょうが、あらゆる商品について類似とするのかが興味津々です。

 宇高個人的には、知的財産高等裁判所の判決には、「でもなあ」と感じております。

第4 当裁判所の判断
1 取消事由1(商標法4条1項11号該当性に関する判断の誤り)について
(1)  本件指定役務と引用指定商品の類否について
ア 判断基準
 
ある商標の指定商品と他の商標の指定役務とが類似のものであるかどうかは、それらの商品及び役務が通常同一営業主により製造、販売又は提供されている等の事情により、それらの商品と役務に同一又は類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造、販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるか否かによって判断するのが相当である(最高裁昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁参照)。

イ 商品の販売と貸与に関する取引の実情
 
各項末尾に記載した証拠及び弁論の全趣旨によれば、建設機械の販売及び貸与に関する取引の実情として、以下の事実が認められる。
() 住友建機販売株式会社のウェブサイトには、同社が製造した建設機械に関し、「お客様サポート」の見出しの下、「SUPPORT 01」の箇所に、「購入サポート」と「レンタル」の両方の記載があり、「レンタル」の箇所には、「取扱拠点」に関する記載及び「レンタル機器補償制度について」の記載が存在する。また、住友建機販売株式会社の目的には、「建設機械、運搬機械の製造、販売、賃貸ならびにその部品の販売修理」が含まれている。(甲66の1・2、67)
……
ウ 検討
() 上記イに挙げた事実によれば、建設機械について、その製造業者又はその関連会社が、販売とともに貸与(レンタル)も行っているという取引の実情があると認められる……
() 商標法施行規則6条及び同規則別表によれば、「土木機械器具」が、商標法施行令2条及び同施行令別表による商品及び役務の区分の第7類「加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械」に属する商品とされており、建設機械は第7類に属する商品であると認められる。

 引用指定商品「生ゴミ処理機、液体肥料製造装置」も、第7類に属するものであるから、引用指定商品と建設機械は同じ第7類に属する商品である。

() 以上のとおり、引用指定商品と同じ第7類に属する建設機械について、その製造業者又はその関連会社が、販売とともに貸与(レンタル)も行っているという取引の実情がある。これに加え、複写機、プリンター等の出力機器や事務用機器等の商品を取り扱う会社においても、会社の目的に商品の販売と貸与の両方を挙げる会社が複数存在する(甲72~74。なお、被告も、会社の目的に「産業用機械器具の製造、販売及び賃貸」が含まれている[弁論の全趣旨]。)。機械に商標を使用する者がその機械の貸与も行っていることは、通常、特に意外なこととまではいえず、むしろ、予想し得る範疇のことといえる。また、本件指定役務の需要者は生ゴミ処理機を使用する者であり、引用指定商品の需要者も、その多くは、生ゴミ処理機を使用する者であると推認されるから、双方の需要者は多くの部分で共通する。

 これらの事情を考慮すれば、本件指定役務と引用指定商品に同一又は類似の商標を使用する場合には、同一営業主の製造、販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがあると認められる関係があるということができる。したがって、本件指定役務と引用指定商品は類似するものと認められる。

⑵ 本件商標と引用商標との比較
 本件商標は、「ゴミサー」の文字を標準文字で表してなる商標であり、引用商標も、「ゴミサー」の文字を標準文字で表してなる商標であるから、本件商標と引用商標は同一である。

⑶ 商標法4条1項11号該当性について
 上記⑴及び⑵のとおり、本件商標と引用商標は、商標が同一であり、かつ、本件指定役務と引用指定商品が類似しているから、本件商標は、その登録出願の日前の登録出願に係る他人の登録商標である引用商標と同一であって、その商標登録に係る指定商品に類似する役務について使用するものであり、本件商標は商標法4条1項11号に該当する。本件商標は、同法46条1項1号により無効にすべきこととなる。

⑷ 被告の主張に対する判断
 被告は、前記第3の1〔被告の主張〕のとおり、建設機械の業界と「生ゴミ処理機」の業界とでは、製品の特性、価格、主要な需要者層等の取引の実情が全く異なり、取引実態の異なる他の業界の事例は、本件指定役務と引用指定商品との類否判断の参考とならないなどと主張する。

 しかし、生ゴミ処理機の業界と建設機械の業界の間に相違点があるとしても、建設機械は、引用指定商品と同じ第7類「加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械」に属する商品であることからすれば、建設機械に関する取引の実情を考慮に入れることを不当とすることはできない。
 また、生ゴミ処理機の業界において、同一の商標がその商品と貸与の役務に使われても、同一営業主のものと誤認されるおそれがないほどに、製造、販売者と貸与者が明確に区別されて需要者に認識されていることを示すといえる証拠もない。

 したがって、被告の上記主張は採用することができず、その他、被告の主張する内容を検討しても、上記⑴ないし⑶の認定及び判断は左右されない。

⑸ 取消事由1に関する結論
 以上によれば、本件商標が商標法4条1項11号に該当するとは認められないとの本件審決の判断は誤りであり、取消事由1は理由がある。

2 結論
 以上のとおり、取消事由1は理由があり、本件審決にはこれを取り消すべき違法がある。

 よって、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり判決する。

                 知的財産高等裁判所第3部

バッファローハードディスク事件(登録第1409214号意匠権侵害訴訟)

平成30年(ワ)第6029号  令和2年(ネ)第1492号

   主   文

1被告は,別紙物件目録記載の製品を製造し,販売し,輸出し,若しくは輸入し,又は販売の申出をしてはならない。
2被告は,別紙物件目録記載の製品を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,3528万1382円及び……支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

登録第1409214号意匠

被告製品

 第4 当裁判所(大阪地方裁判所第26民事部)の判断
1 争点1(本件意匠と被告意匠の類否)について
(1) 登録意匠とそれ以外の意匠との類否の判断は,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行う(意匠法24条2項)。この判断に当たっては,両意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様を全体的に観察するとともに,意匠に係る物品の用途や使用態様,公知意匠等を参酌して,需要者の最も注意を惹きやすい部分,すなわち要部を把握し,要部において両意匠の構成態様が共通するか否か,差異がある場合はその程度や需要者にとって美感を異にするものか否かを重視して,両意匠が全体として美感を共通にするか否かによって判断するのが相当である。
(2) 本件意匠の構成態様
  ……
 () プレートについて
 本件意匠の構成態様に含まれる「プレート」とは,より具体的かつ詳細には,その表面が別紙「本件意匠の図面」記載の平面図及び正面図において示される面をなすものであり,平面及び正面の表面部分と本体との間に溝部が設けられること(基本的構成態様(B3))によって,平面及び正面の表面部分側に,略全面に渡って一定の厚みで形成された薄い1枚の板状の部分であって,略全面に渡って平坦であるとともに,背面図,左側面図及び右側面図(さらに,本件意匠公報の各参考斜視図)から明らかなとおり,平面から正面へと繫がる角は側面視円弧状に湾曲している(基本的構成態様(C3)の前半部分)このプレート部分は,上記のような配置及び形状から,本件意匠を視認する者において本体や溝部とは明瞭に区別して把握されるものである。
 このことに鑑みると,プレート部分は,独立の構成として特定するのが相当であるとともに,本件意匠の骨格的な形態をなすものとして基本的構成態様に位置付けるべきである。

 しかし、宇高は、裁判官が指摘の斯の骨格的な形態には意匠の創作力が無い、即ち、意匠の要部に成り得ないと考えてます…

  ところで、両意匠の類否を、特許庁では如何に判断したでしょうか?
 意匠専門家による判断は、裁判官とは真逆でした。
 すなわち、裁判官は上記両意匠が類似(即ち、被告製品は本件意匠権を侵害)と判断したのに対して、意匠専門家である特許庁・審判官は
上記両意匠が非類似(即ち、被告製品は本件意匠権を侵害せず)と判断しました。
 

特許庁による判定2019-600019
【結論】
 イ号意匠の図面及びその説明により示された「データ記憶機」の意匠は,登録第1409214号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
【理由】
……
第4 当審の判断
……
イ 相違点の評価
 相違点2は,プレート部の前面部分における相違であり,プレート部の前面を1枚の平滑な面としたものであるか否かは,一見して気が付く相違であるし,開口部や切り欠き部の有無の相違は,操作性に関わる相違との印象をもたらすものであるから,相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
 相違点3は,前方下側の角部を湾曲面としたか否かの相違であるが,底面に回り込む部分の相違であるとしても,前面下端寄りの開口部や切り欠き部の有無の相違と共に目に入ってくる部分の相違であるから,相違点3が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
 相違点4は,側面視における溝の相違であるが,パネル状部分と上面,前面及び少し底面に回り込んだ所のプレート部との間に一条の溝を設けた本件登録意匠については,パネル状部分が側面を全体的に覆い,上面及び前面のプレート部が本体から飛び出しているように感じさせ,パネル状部分の四周に一条の溝を設けたイ号意匠については,ごく細い額状の枠体の中に,それより一回り小さなパネルが嵌め込まれているように感じさせ,両意匠は本体の側面視の形態が大きく異なるとの印象をもたらし,イ号意匠の上側の溝に一定間隔で設けた複数の凹部の有無の相違も加わって,相違点4が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
 相違点5は,左右両側面のパネル状部分における相違であるが,斜めの凹凸筋を設けたか否かの相違は,パネル状部分の全面に及ぶものであるから,一見して気が付く相違であり,通気口の有無の相違も加わって,相違点5が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
(3)両意匠の類否判断
 両意匠について意匠全体として総合的に観察した場合,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,その形態については,上述の共通点及び相違点の評価に基づけば,共通点1ないし7を備えた形態は,両意匠に一定の共通感をもたらしているとしても,前面を1枚のプレート部としたか否かの相違及び前面における開口部や切り欠き部の有無の相違(相違点2),並びに前方下側の角部を湾曲面としたか否かの相違(相違点3)が相まって,前面の形態について異なる印象をもたらし,側面視の形態についても,溝の相違(相違点4)及びパネル状部分の相違(相違点5)が相まって異なる印象をもたらすものであり,この前面及び側面視の形態の相違が合わさって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。
 したがって,両意匠は,類似するものではない。

 宇高も特許庁・審判官の判断の方が正しいと考えております。

 しかし、宇高は、意匠の類否に関する裁判所の判断(要部が似てれば類似の判断)を、今後は、積極的に利用して行くべきと考えております。

 意匠権も馬鹿には出来ないですね!

 

 

二重瞼(ふたえ瞼)特許権(特許第3277180号)侵害訴訟事件

平成30年()第4329号 損害賠償等請求事件(第1事件)

     同第23514号 損害賠償等請求事件(第2事件)

特許第3277180号

【請求項1】延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材に、粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用テープ。

【請求項9】延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した糸状部材に粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用糸。 

 出願時のクレイム
【請求項1】弾性的に伸縮する細いテープ状部材に粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用テープ。
【請求項2】上記テープ状部材を、延伸可能でその延伸後に弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した請求項1の二重瞼形成用テープ。

吹き矢事件 令和3年(ネ)第10049号,同年(ネ)第10069号 特許権侵害差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成31年(ワ)第2675号)

   上記図は、被告・株式会社トラストクルー製品の前面・側面・後面図です。


 平成31年(ワ)第2675号 特許権侵害差止等請求事件

      令和3年5月18日判決言渡   

   原告 株式会社ダイセイコー

   被告 株式会社トラストクルー

              判   決

1 被告は,別紙被告製品目録記載1及び2の各製品を製造し,譲渡し,輸入し,輸出し,譲渡の申出をし,又は譲渡のために展示してはならない。

2 被告は,前項の各製品及びその半製品(前項の各製品の構造を具備しているが製品として完成するに至らないもの)を廃棄せよ。

3 被告は,原告に対し,3596万0360円及びこれに対する令和2年6月25日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

 第一審・東京地裁の裁判官は、均等論を持ち出すまでも無く、上記図の形状は楕円体と判断した。

 

令和3年(ネ)第10049号,同年(ネ)第10069号 特許権侵害差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成31年(ワ)第2675号)

              判   決

1 原判決を取り消す。

2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。

 

 

 第2審・知財高裁の裁判官は、上記図の形状は楕円体ではない、かつ、均等論の第1要件および第3要件を充足しないから、均等侵害も成立しないと判断した。

特許第4910074号(原告・(株)ダイセイコー特許)

【背景技術】
 近年、矢を吹く際の呼吸が腹式呼吸であり健康によいという理由から、スポーツや娯楽としての吹矢が普及している。
 従来の矢24は、フィルム28の先端部に丸釘26が差し込まれた形状になっている。
 丸釘26は、頭部にカエシが形成されており、頭部には後方に向かって尖っている円柱部(軸部)が一体接続されている。このカエシの存在により、次の事象がしばしば生じている。
 的に刺さった矢を的から外すときに丸釘のピンだけ的に残ってフィルムだけ引き抜かれてしまう。

 そこで、下記請求項に記載の技術が発明された。
【請求項1】
  吹矢に使用する矢であって、
  球形である先端部と該先端部から後方に延びる円柱部とからなるピンであって、該円柱部の横断面の直径が前記球形の直径よりも小さいピンと、
  円錐形に巻かれたフィルムであって、先端部に前記ピンの円柱部すべてが差し込まれ固着されたフィルムと、
  からなり、
 前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの球形の部分が錘として接続された矢。

【請求項2】
  吹矢に使用する矢であって、
  長手方向断面が楕円形である先端部と該先端部から後方に延びる円柱部とからなるピンであって、該円柱部の横断面の直径が前記楕円形の先端部の横断面の直径よりも小さいピンと、
  円錐形に巻かれたフィルムであって、先端部に前記ピンの円柱部すべてが差し込まれ固着されたフィルムと、
  からなり、
 前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの楕円形の部分が錘として接続された矢。 

 本件発明は「カエシ」の無い事が特徴だから、
  宇高ならば、
   特許請求の範囲に記載の発明は、

(1)「カエシ」が無い形状の鏃。
(2)的に突き刺さる長さの位置までは「カエシ」が無い形状の鏃。
(3)的に突き刺さる長さの位置までの鏃の外形が関数f(x)で表される形状とした場合、
   f(x)の微分関数[d(f(x))/dx]が連続関数である鏃。

(4)的に突き刺さる長さの位置までの鏃の外形がなだらかな曲面である鏃。

 勿論、
(5)先端部が球形状(略球形状)の鏃。
(6)先端部が楕円体状(略楕円体状)の鏃。
(7)先端部が彗星(ほうき星)状の鏃。
も…

 そうすれば、特許権者・株式会社ダイセイコーは控訴審でも勝訴しただろう!
 それでは、何故、斯かるクレイムが作成できなかった?
 図面を描いてから、明細書を作成し、クレイムを作成したからではないだろうか?
 図面を先に描いた場合には、図面が、もう、内容を記載したと錯覚してしまう?
 
図面に囚われてしまう?

特許第6593737号(被告・(株)トラストクルー特許)

株式会社トラストクルーは、特許第4910074号発明の回避技術を発明して特許出願を行い、特許権を取得した。
【背景技術】
 特許文献(特許第4910074号)には、従来の矢を改良したものとして、先端部と該先端部から後方に延びる円柱部で構成されるピンにおいて、該先端部を球形に、あるいは長手方向断面を楕円状(俵形)に形成したものが提案されている。ピンの先端部の形状を球形または長手方向断面が楕円状(俵形)となるように形成した矢においては、矢の飛行時における空気抵抗が比較的大きく、矢が上下、左右方向にブレてしまい、その結果、矢の的への命中率が低下することになり、特に得点を僅差で争う吹矢競技の競技者にとっては看過できない問題となる。
 そこで、下記請求項に記載の技術(上記侵害訴訟品の製品)が発明された。
【請求項1】
  前部がドーム形で後部が略円錐形である涙滴形の先端部と該先端部の後部に延設してある円柱部とからなると共に、該円柱部の横断面の直径を上記先端部の横断面の直径の最大値よりも小さく形成してあるピンと、
  截頭円錐形に巻かれたフィルムとからなり、
  上記フィルムの截頭部に上記ピンの円柱部を差し込んで固着してあり、
  上記ピンは、その前後方向において、上記先端部を形成する涙滴形の前端から仮想上の尖端までの長さの、上記涙滴形の横断面の直径の最大値に対する割合が216~272%であり、かつ、上記涙滴形の前端から上記涙滴形の横断面の直径が最大である位置までの長さの、上記涙滴形の前端から仮想上の尖端までの長さに対する割合が14.7~23.1%であることを特徴とする吹矢用の矢。
【発明の効果】(a)本願の第1の発明では以下のような効果が得られる。
  (a-1)  上記ピンの先端部を涙滴形としているので、例えば、球形や長手方向断面が楕円状(俵形)の先端部を有する従来の矢よりも、矢の飛行中の空気抵抗を減少させることができ、また、矢の重心位置が矢の前寄りとなるため、矢の飛行中の上下、左右方向のブレが抑えられ、矢飛軌跡が直線に近付くことで、的への命中率が向上する。
  上記ピンの先端部を形成する涙滴形を、特定範囲に調整することにより、先端部を形成する涙滴形をより空気抵抗の少ない形状にして、重心位置を適切に前寄りとしてある。そのため、矢の飛行中のブレをより少なくして、矢飛軌跡をより直線に近づけることができるため、矢の的への命中率をより高めることができる。
  「涙滴形」は、前部が「ドーム形」で後部が「略円錐形」とされる。この「涙滴形」は、球形や楕円形と比べて空気や水の抵抗が小さいとされており、飛行船や潜水艦の形状として多く採用されている。 

 本件発明は出願当初から特許第4910074号の特許権者に対する侵害対策であった。
 宇高ならば、
  第1案 【請求項1】

  前部がドーム形で後部が略円錐形である涙滴形の先端部と該先端部の後部に延設してある円柱部とからなると共に、該円柱部の横断面の直径を上記先端部の横断面の直径の最大値よりも小さく形成してあるピンと、

  截頭円錐形に巻かれたフィルムとからなり、
  上記フィルムの截頭部に上記ピンの円柱部を差し込んで固着してなる
吹矢用の矢。 

涙滴形」の言葉では「楕円形」との違いがもう一つ?
涙滴形」が「前部がドーム形で後部が略円錐形」ならば、「涙滴形」の記載は不要
「前部がドーム形で後部が略円錐形であって、更に涙滴形」の意味合いなのか?

   第2案 【請求項1】
 先端部と該先端部の後部に延設してある円柱部とからなると共に、該円柱部の横断面の直径を上記先端部の横断面の直径の最大値よりも小さく形成してあるピンと、
  截頭円錐形に巻かれたフィルムとからなり、
  上記フィルムの截頭部に上記ピンの円柱部を差し込んで固着してなり、
 前記先端部は、
  曲面形状の前部と曲面形状の後部とを具備してなり、
  前記前部の前後方向における長さは、前記後部の前後方向における長さよりも、短く、
  前記前部の局面形状は後方に移るに従って拡がる形状であり、
  前記後部の局面形状は前方に移るに従って拡がる形状である(先端部の重心(最大径)は前部に存在:非楕円体)
吹矢用の矢。 

 第3案 【請求項1】
 先端部と該先端部の後部に延設してある円柱部とからなると共に、該円柱部の横断面の直径を上記先端部の横断面の直径の最大値よりも小さく形成してあるピンと、
  截頭円錐形に巻かれたフィルムとからなり、
  上記フィルムの截頭部に上記ピンの円柱部を差し込んで固着してなり、
 前記先端部は、
  前記先端部の長さの1/2長さの曲面形状の前部と前記先端部の長さの1/2長さの曲面形状の後部とを具備し、
  前記先端部における最大径部が前記前部に存在し、
  前記前部の局面形状は、前記最大径部の個所まで後方に移るに従って拡がり、前記最大径部個所から後方に移るに従って狭まり、
  前記後部の局面形状は前方に移るに従って拡がる形状である
吹矢用の矢。

 すなわち、
「涙滴形」を用いない!
「楕円体」とは相違する形状を想起させる言葉を用いる! 

  宇高は、
 特許第6593737号発明において、「上記ピンは、その前後方向において、上記先端部を形成する涙滴形の前端から仮想上の尖端までの長さの、上記涙滴形の横断面の直径の最大値に対する割合が216~272%であり、かつ、上記涙滴形の前端から上記涙滴形の横断面の直径が最大である位置までの長さの、上記涙滴形の前端から仮想上の尖端までの長さに対する割合が14.7~23.1%」が記載されていなくても、
 特許は成立していたと考えている。

 なまじっか、斯かる記載が有った為に、本件特許発明のポイントがボケてしまい、一審では敗訴したのではないだろうか? 

  宇高は、
 本件特許発明において、「涙滴形」の代わりに、「ピン前部に重心が在る非楕円体形状」である事を請求項1に明記しておれば、
 特許第6593737号製品(本件特許訴訟における侵害品)が特許第4910074号における「長手方向断面が楕円形」とは異なる事を、一審・東京地裁の裁判官も直ちに理解したであろうと考えている。

 

金鳥(大日本除蟲菊株式会社)は特許第7026270号発明のポイントを正しく理解していた筈なのに、なぜ、敗訴?

その理由1.請求項の文章が長すぎた!⇒散漫になってしまった。

特許訴訟で勝訴の為の明細書を作成する為には

当所がセミナーで教えている特許請求の範囲・特許明細書の書き方を習っていたら、勝訴していたのになあ

 

大日本除蟲菊株式会社(金鳥)が、アース製薬株式会社に対して、特許第7026270号特許権を侵害されたとして訴えた特許権侵害訴訟

 特許第7026270号の特許発明の内容は次の通りでした。

【請求項1】
 害虫防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤を封入してなる定量噴射バルブが設けられた耐圧容器と、
 前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンと、
を備えた蚊類防除用エアゾールであって、
 前記害虫防除成分は、メトフルトリン及び/又はトランスフルトリンであり、
 前記エアゾール原液は、前記害虫防除成分を14.3重量%以上含有し、
 前記噴射ボタンを1回押下したときの噴射容量が0.1~0.4mLとなり、
 前記噴射距離20cmにおける噴射力が25において0.3~10.0g・fとなるように調整され、
 前記エアゾール原液は、前記噴射口から、少なくとも一部が処理空間内における蚊類が止まる露出部に付着する付着性粒子として噴射され、
 前記エアゾール原液を処理空間に1回噴射した場合、前記害虫防除成分の噴射量が4.5~8畳あたり5.0~30mgに調整される蚊類防除用エアゾール(但し、自動噴霧装置本体に装着されてなる蚊類防除用エアゾールを除く)。 

 東京地裁は「付着性粒子」は、噴射から時間がたっても壁や床に付着した状態を維持し、蚊を駆除できるものを指すと捉えられると指摘し、付着の量などの確認方法の記載が見当たらず、特許の権利が及ぶ範囲が第三者からはっきりしないことから、第7026270号特許発明は「不明確で無効とされるべきだ」との判断を示したとの報道がなされております。 

 本件判決書が未だ公開されていないので詳細な検討は出来ておりませんが、宇高の考えを以下に述べます。

 本件特許発明の明細書には下記の記載が有ります。
【0046】
  [付着性粒子]
 図1(b)に示されるように、エアゾール原液を処理空間に1回噴射すると、付着性粒子X、及び浮遊性粒子Yが形成される。図1(b)において、白丸で示されているものが付着性粒子Xであり、黒丸で示されているものが浮遊性粒子Yである。両者の粒子径は異なっており、付着性粒子Xの方が浮遊性粒子Yより大きな粒子径として形成される。付着性粒子Xの好ましい粒子径は、25、噴射距離15cmにおける体積積算分布での90%粒子径が20~80μである。この範囲であれば、エアゾール原液が処理空間に噴射された際、速やかに処理空間内の露出部に移動し、付着することができる。そのため、露出部に止まっている蚊類を付着性粒子Xの害虫防除成分によってノックダウン又は死滅させることができる。また、処理空間内に侵入し、露出部に止まろうとしている蚊類に対しても害虫防除効果を奏するため、処理空間外へ追い出すことも可能となる。粒子径が20μm未満であると、粒子径が小さすぎるため、露出部まで到達することが困難となり、その結果、露出部に止まっている、あるいは、止まろうとしている蚊類を防除することが困難となる。一方、粒子径が80μmを超えると、粒子径が大きすぎるため、付着性粒子の挙動をコントロールし難くなり、露出部に適切に付着させることが困難となる。付着性粒子Xのより好ましい粒子径は、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での90%粒子径25~70μmである。
【0047】
 また、付着性粒子Xの好ましい付着量は、処理空間内の露出部に1m当たり0.01~0.4mgであり、好ましくは、1m当たり0.05~0.2mgである。このような範囲であれば、露出部に止まっている蚊類を効果的にノックダウン又は死滅することができる。付着量が1m当たり0.01mg未満であると、露出部に止まっている蚊類に対し充分な防除効果を奏することができず、蚊類をノックダウン又は死滅させることが困難となる。一方、付着量が1m当たり0.4mgを超えても、害虫防除効果は大きく向上することはなく、また、エアゾール原液の使用量も過大となるため、経済的にも不利である。

  本件特許発明の発明者は、害虫防除成分を、空中に浮遊させるよりも、壁などに付着させた方が効果的である事に気付いて発明がなされた旨が記載されております。
 蚊だって、長時間ブンブン飛び交っていれば疲れるから、羽休みの為に、天井や壁に止まるのは当然ですよね。

 誰しも、判っていたでしょうが、気付いていなかった。
 発明者は発明のポイントに気付いていたのです。
 発明者は知恵ある方ですね。

 それなのに、どうして、上記請求項1の如きの権利にしてしまったのでしょう?

 本件発明は第4世代までの分割出願(特願2023-98264:特許第)が有り、この第4世代の分割出願も特許第7664969号として特許になっております。
 しかし、何れの特許にあっても、分割出願である以上、本件東京地裁の指摘事項は全く解消されず、無意味な特許権になってしまいました。

 宇高が担当していたならば、下記の請求項を作成したでしょう。
【請求項1】
 害虫防除成分と有機溶剤とを含有するエアゾール原液、及び噴射剤を封入してなる定量噴射バルブが設けられた耐圧容器と、前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられた噴射ボタンとを具備してなり、
 前記害虫防除成分はメトフルトリン及び/又はトランスフルトリンであり、
 前記エアゾール原液は、前記害虫防除成分を14.3重量%以上含有し、
 前記エアゾール原液が前記噴射口から噴射されて前記害虫防除成分が蚊類が止まる露出部(壁および/または天井)に付着してなる
蚊類防除技術。
【請求項2】
 害虫防除成分を(14.3重量%以上?)含有するエアゾール原液が噴射されて前記害虫防除成分が蚊類が止まる露出部(室内の壁および/または天井)に付着してなる
蚊類防除技術。
【請求項3】
 蚊類防除用薬剤成分が室内の壁および/または天井に付着するように蚊類防除用薬剤成分含有組成物が室内で噴霧されて蚊類が防除される技術であって、
 25℃で噴射距離15cmにおける体積積算分布での90%粒子径が20μm以上である(よう調整されてなる?)
蚊類防除技術。
【請求項4】
 蚊類防除用薬剤成分が室内の壁および/または天井に付着するように蚊類防除用薬剤成分含有組成物が室内で噴霧されて蚊類が防除される技術であって、
 蚊類防除用薬剤成分含有組成物(蚊類防除用薬剤成分)の付着量が1m当たり0.01mg以上である
蚊類防除技術。

【請求項n】
 25mの部屋での蚊成虫に対する防除(閉めきった25mの部屋の中央で蚊類防除用エアゾールを1回噴射した直後にアカイエカ雌成虫50匹を放ち、20時間(?)暴露させた後で供試蚊を回収した。時間経過に伴い落下仰転したアカイエカ雌成虫を数え、KT50値を求めた。)がxxxx以下である
請求項1~  の蚊類防除技術。

  もちろん、明細書中には、「粒子径の測定方法」、「蚊類防除用薬剤成分含有組成物(蚊類防除用薬剤成分)の付着量の測定方法」を記載してます。測定方法の違いによって測定値の値が異なるので、測定方法の明記は必須です。それから、請求項に記載の文章が短ければ、誰しも測定方法を記載しておく事に気付きます。宇高の特許明細書の書き方を参考にしてれば、測定方法の記載は当たり前です… 

 残念な事に、本件特許発明のポイントを分散させた(請求項1に記載の文章が長すぎた)為に、即ち、特許発明を的確に記載しなかった為に、害虫防除を効果的に奏させる為の付着量や粒径の測定方法にまで気を向けられなかったようです

 

 

 

役に立つ特許は当たり前じゃあないかと謂われる発明

 下記の事例は斯の程度の発明でも特許出願したフィリップモリス社の知恵の賜物と宇高は考えてます。

 フィリップモリス社が所有する加熱式タバコの特許第6125008号の権利は下記の内容です。

【請求項1】
 
エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、前記装置は、
  エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、
 前記加熱要素に電力を供給するための電源と、
を備え、
 前記方法は、
  前記加熱要素に供給される前記電力を、前記装置を動作させた直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が前記少なくとも1つの加熱要素に供給され、第2段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度に低下するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給され、第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう制御するステップを含む、
ことを特徴とする方法。

 要約すると、
  タバコ吸い始め開始時は、加熱温度を急激に高くし、
  タバコが吸えるようになると加熱温度を低くし、
  終わり近くになると加熱温度を再度高くするものです。

 これは当然です。

 早く吸いたいから、加熱温度を高くして揮発成分を速やかに揮発させます。

 吸えるようになると、そのままの高い温度だと、揮発成分が短時間で揮発して無くなってしまうので、長時間に亘って吸う為には、加熱温度を下げる必要が有ります。下げても予熱されているから揮発成分は揮発します。

 吸い終わり近くになると、揮発成分が少なくなっているので、加熱温度を高くして、強制的に全てを揮発させます。

 こうすると、効率よく、かつ、無駄なくタバコが吸えるようになります。

  是は当たり前の技術と言えば当たり前

  この程度で特許?と言いたくなるのは当然でしょう。

 ライバル会社は特許無効を請求して争いましたが負けました。

 フィリップモリス社は東京地裁に訴えを提起(令和2年(ワ)第4331号特許権侵害行為差止請求事件および令和2年(ワ)第4332号特許権侵害行為差止請求事件)しました。

 一審で負けた被告は知財高裁に控訴(令和3年(ネ)第10072号特許権侵害行為差止請求控訴事件、令和4年(ネ)第10073号および同年(ネ)第10096号特許権侵害行為差止請求控訴事件)しました。

 最終的に、令和4年5月13日、令和5年3月23日判決言渡で、控訴審でも、フィリップモリス社の勝訴です。

 

 フィリップモリス社のMarlbroMan Always Remember Love Because Of Romance Over)の箱にはモットーveni-vidi-vici(来た、見た、勝った):ポントスに勝利した際に、カエサルがローマ元老院に送った際の報告」が表示されております。今回の事件もモットー通りだったようです。

 東京地裁の判決と知財高裁の判決とは、証拠資料を同じくするも、結果は真逆です。

 訴訟では、原告と被告との間での戦いですが、ターゲットは裁判官です。

 裁判官をより納得させる論理を構築した者が勝訴です。

 

 上記商標の商標権者である原告が、被告が電子掲示板に「2ちゃんねる」「2ch.net」の表示をする事は上記各商標権を侵害すると主張して、商標法第36条第1項又は不正競争防止法第3条第1項に基づき、被告標章の使用の差止め、及び商標権侵害につき民法709条,不正競争行為につき不正競争防止法第4条に基づき損害賠償1億7500万円及び平成29年1月19日から被告標章の使用を中止するまで月額500万円の割合による金員の支払を求めた事案です。

 

 一審・東京地裁の判決が

「1 本件訴えのうち,令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下する。

 2 被告は,その運営する掲示板に,別紙被告標章目録記載の各標章を使用してはならない。

 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。」

であったのに対して、

 二審・知財高裁の判決は

「1 控訴人の本件控訴に基づき、原判決主文3項を次のとおり変更する。

  (1) 被控訴人は、控訴人に対し、2億1700万円を支払え。

  (2) 控訴人の損害賠償請求のうち令和元年11月1日までに生ずべき損害賠償金の支払を求める部分のその余の請求及び「2ch.net」のドメイン名の使用の差止めを求める控訴人の請求をいずれも棄却する。

 2 被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文2項を取り消し、同項に係る控訴人の請求を棄却する。」

でした。

 

 

平成29年(ワ)第3428号 商標権侵害差止等請求事件

 【東京地方裁判所民事第46部における判決】

    主 文

1 本件訴えのうち,令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下する。

2 被告は,その運営する掲示板に,別紙被告標章目録記載の各標章を使用してはならない。

3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 

(2) 争点1-2(被告は被告標章について先使用権を有するか)について

  (被告の主張)

  被告は,平成16年から平成29年9月30日まで,継続して本件電子掲示板を管理・運営し,不正競争の目的によることなく,原告による原告商標の出願日以前から被告標章を使用していた。

 また,本件電子掲示板の事業において,被告標章は,原告商標の出願以前から需要者の間に広く認識されており,周知であった。

 したがって,被告には,被告標章1及び2につき先使用権が認められる。

  (原告の主張)

 平成11年以降平成26年2月19日まで,本件電子掲示板を運営していたのは原告である。上記期間,原告は,被告に対し,本件電子掲示板のサーバのID・パスワードの管理と本件ドメイン名の管理を委託していたにすぎない。本件電子掲示板を平成16年から運営している旨の被告の主張は,本件電子掲示板の運営主体という極めて基本的事項について主張が変遷しており,信用できない。

 また,原告商標1及び2の出願当時において,被告標章1及び2が被告の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていなかったことは明らかである。

 さらに,被告は,平成26年2月19日に原告が本件電子掲示板のサーバにアクセスできないようにして本件電子掲示板を乗っ取ったのであるから,「不正競争の目的」(商標法32条1項前段)が認められる。

 したがって,被告には,被告標章1及び2につき先使用権は認められない。

 

第3 当裁判所の判断

 ……

 争点1-2(被告は被告標章について先使用権を有するか)について

 被告は,原告商標の出願日の前から,被告標章を使用して本件電子掲示板を管理・運営していたとし,被告標章につき先使用権を有する旨主張する。

 前提事実2⑷及び前記2のとおり,原告商標1及び2の指定役務と本件電子掲示板の役務は同一であり,被告標章は原告商標と,それぞれ同一又は類似する。

 前記認定事実によれば,本件電子掲示板は,①平成11年に開設され,平成12年に西鉄バスジャック事件の犯人とされる少年が同掲示板に犯行予告を書き込むなどの出来事もあって社会的に注目を集めるようになり,平成14年頃には利用者が急激に増加し(前記2⑵ア,ウ,エ),②平成16年及び平成17年には本件電子掲示板に掲載された投稿をほぼそのまま出版した「電車男」が話題となり,インターネットに係る複数の賞を受賞し,これがネットニュースで報道され(前記2⑵カ),③平成18年頃には,本件電子掲示板の名称である「2ちゃんねる」という言葉がマスコミにおいて頻繁に登場したり,本件電子掲示板内において使用される用語が一般の雑誌においても使われたり,電子掲示板を利用しない一般人の間でも本件電子掲示板が話題に上ったりするようになった(前記2⑵キ)。

 これらによれば,本件電子掲示板のトップページ等に表示されていた被告標章1及び2は,遅くとも,平成18年には,本件電子掲示板に係る役務を表示するものとして,全国の需要者の間に広く認識されるに至ったと認めることができる。そして,平成25年3月当時,本件電子掲示板の月間の閲覧数が29億にのぼるとして「日本語圏最大級のネットコミュニティ」などと宣伝されていたことに照らせば(前記2⑵ス),原告商標が出願された日においても,上記周知性が維持,継続していたものと認められる。

 ……

 以上によれば,被告は,被告標章につき先使用権を有すると認められ,平成26年2月19日から,被告が継続して本件電子掲示板を運営していた平成29年9月30日までの期間については(前記前提事実⑸),被告による被告標章の使用は,同先使用権に基づくものとして原告商を侵害しない。

 また,前記2⑵ツによれば,本件電子掲示板は,平成29年10月1日から平成30年4月までの間に Loki 社が運営するようになり,名称は「5ちゃんねる」と,ドメイン名は「https://5ch.net」と変更され,トップページ等における被告標章の表示も削除されたことが認められる。そうすると,平成29年10月1日以降,被告が本件電子掲示板を運営し,被告標章の使用を継続していた期間については,その使用は先使用権に基づくものとして原告商標を侵害しないといえ,Loki 社が運営を開始して以降は,被告が被告標章を本件電子掲示板のトップページ等に表示して使用した事実は認められない。

 したがって,原告の商標権に基づく損害賠償請求には理由がない。なお,

原告商標1及び2に基づく差止めの必要性については,後記6のとおりであ

る。

……

8 結論

 よって,本件訴えのうち令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えは不適法であるから却下し,商標権に基づく被告標章の差止請求には理由があるからこれを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,仮執行宣言は相当でないのでこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。

 

 

令和2年(ネ)第10009号、同年(ネ)第10037号 商標権侵害差止等請求控訴事件、同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(ワ)第3428号)

 【知的財産高等裁判所第2部における判決】

    主 文

1 控訴人の本件控訴に基づき、原判決主文3項を次のとおり変更する。

(1) 被控訴人は、控訴人に対し、2億1700万円を支払え。

(2) 控訴人の損害賠償請求のうち令和元年11月1日までに生ずべき損害賠償金の支払を求める部分のその余の請求及び「2ch.net」のドメイン名の使用の差止めを求める控訴人の請求をいずれも棄却する。

2 被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文2項を取り消し、同項に係る控訴人の請求を棄却する。

3 訴訟費用(控訴費用、附帯控訴費用を含む。)は、第1、2審を通じてこれを10分し、その6を被控訴人の負担とし、その余を控訴人の負担とする。

 

第3 当裁判所の判断

 当裁判所は、控訴人の本件訴えのうち当審の口頭弁論終結の日の翌日である令和4年11月29日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分は不適法であるが、その余の本件損害賠償請求の一部については理由があり、また、控訴人の被告標章差止請求及び本件ドメイン差止請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、前記第2の4の当審における当事者の補充主張に対する判断を含め、次のとおりである。

 ……平成18年5月12日発行の「2ちゃんねる公式ガイド2006」にも控訴人が本件電子掲示板の生みの親であることなどが記載されていたこと(同(2)カ、キ)のほか、その後も控訴人が平成18年当時本件電子掲示板の管理人であったことに沿う事実が認められること(同(2)ク~シ・セ・ト)を考慮すると、前記(1)で原判決の第3の4(3)を訂正の上で引用して認定したように「2ちゃんねる」の標章及び「2ch.net」の標章が周知性を獲得したというべき平成18年の時点において、その役務の提供の主体は、控訴人であったというべきである。

 イ() 他方で、本件全証拠をもってしても、平成18年の時点及びそれ以降平成26年3月27日(原告商標2の出願日)までのいずれかの時点において、「2ちゃんねる」の標章及び「2ch.net」の標章が、NTテクノロジー社又は被控訴人の業務に係る役務を表示するものとなったとみるべき事情は認められない。

 (この点、NTテクノロジー社については、本件電子掲示板のサーバを提供したこと(前記2(2)())や、PINKちゃんねるを開設し、2ちゃんねるビューアの販売及び運営を行うようになったこと(同(2)ウ)、平成14年頃以降、本件電子掲示板の広告料の売上げからの送金を受けていたほか、2ちゃんねるビューア「●」の売上げを取得していたこと(同(2)ウ・エ)、本件ドメイン名について平成17年5月10日時点でAが運営面に関する連絡先として登録されたりNTテクノロジー社が登録サービス提供者として登録されたりしていたこと(同(3)イ~カ)が認められる。

 しかし、サーバの提供者が直ちに当該サーバを用いた事業の運営者となるものではないことは明らかである。……

(3) まとめ

 以上によると、その余の点について判断するまでもなく、被控訴人が被告標章について先使用権を有するものとは認められない。

……

第4 結論

 以上によると、控訴人の本件訴えのうち当審の口頭弁論終結日の翌日である令和4年11月29日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えは不適法であるから却下すべきであり、その余の本件損害賠償請求につき、2億1700万円の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却すべきであり、また、控訴人の被告標章差止請求及び本件ドメイン差止請求には理由がないから棄却すべきところ、これと異なり、控訴人の被告標章差止請求を認容し、本件ドメイン差止請求を棄却し、控訴人の本件訴えのうち令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下し、その余の本件損害賠償請求を棄却した原判決は一部失当であって、控訴人の控訴は一部理由があり、被控訴人の附帯控訴は理由があることから、控訴人の控訴に基づき、原判決主文3項を上記のとおり変更し(なお、原判決主文1項については、被控訴人がその変更を求めていない本件において原判決を控訴人の不利益に変更することは許されないことから、原判決が令和元年11月2日から令和4年11月28日までに生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下したところについては変更しない。)、また、被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文2項を上記のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。

宇高が、上記の本願商標の登録の依頼を受けたならば、

先行商標の調査を行い、登録5984053号商標「珠屋珈琲」の存在を知ったならば、

上記商標を、そのままの形態で、出願をする事は有り得ません。

どうしても出願して欲しいとの事であれば、出願しますが、知的財産高等裁判所まで持ち込んで争う事件ではないです。はっきり言って無駄遣いです。

出願するにしても、宇高ならば、上記商標の図形部分(○の中に「珠」と「TAMAYA」とが記された図形部分)だけにするとか、

「珠」の一部と「屋」の一部とを重ね合わせるとか、

漢字「珠」を別の漢字、例えば「玉」にする(出願人が株式会社珠屋ですから、是は有り得ない?)

と言った工夫を提案します。

そうしないと、商標登録は不可能です。

尤も、宇高は、指定商品がタオルにおいて、「XXXXタオル」と「XXXX」とは誤認混同が起き得ないとして、「XXXXタオル」を登録に持ち込みました。しかし、これは「百千万劫難遭遇」です。

宇高は、「プレミアム5」と「プレミアム」とは誤認混同が起き得ないとして、「プレミアム5」を登録に持ち込みました。しかし、これは、「プレミアム」は識別力が弱い(識別力が無い)と言う特殊性から、登録が認められたと考えております。

下記の判例『「珠屋」の文字部分は、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとまではいえないとしても、一定以上の自他役務識別力を有する部分といえる。』にも合致しております。

 令和7年(行ケ)第10010号 審決取消請求事件
主 文
1 原告の請求を棄却する。
事実及び理由
第1 請求
特許庁が不服2024-13830号事件について令和6年12月17日にした審決を取り消す。
第2 事案の概要
本件は、商標出願の拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は商標法4条1項11号該当性である。……

2 本件審決の理由の要旨
本願商標は、標準文字からなる「珠屋珈琲」と類似するから、商標法4条1項11号に該当する。
3 取消事由
商標の類否判断の誤りによる商標法4条1項11号該当性判断の誤り

第3 当事者の主張
(原告の主張)
1 引用商標の分離観察が許されないこと
(1) 「飲食物の提供」という役務の場合、需要者は、料理の内容、価格、料理人の経歴、原材料、店の雰囲気・立地、接客の良し悪し等、多くの要素を注意深く検討するものであって、屋号や店名に向けられる需要者の注意力は、一般の商品についての商標の場合よりも深く慎重なものとなる。

 これを引用商標についていえば、提供される料理名である「珈琲」を取り去って「タマヤ」と略称してしまうと、「珠屋珈琲」であれば看取することができたはずの店の印象や、店主が店名に込めたメッセージの一部が欠落してしまうことになるが、そのようなことはあり得ない。
(2) 「飲食物の提供」の役務においては、珈琲店以外であっても、提供される料理の普通名称を含めた屋号全体が看板に表示され、注文を受ける電話で屋号全体を名乗るのが普通であるから、需要者は、主に提供される飲食物の普通名称を含めた全体を一体不可分のものとして認識、記憶する。

2 引用商標の外観の認定の誤り
(1) 引用商標の外観は「珠屋珈琲」であり、需要者は直ちに漢字4文字からなる外観を知覚するのであって、いったん視認した外形から「珈琲」を取り去って「珠屋」をさらに視認することはあり得ない。
(2) 引用商標は、「珠屋珈琲」を同一の書体、大きさ、間隔で一連一体に表示するものであるから、外観上、常に一連一体のものとして認識、把握される。

3 引用商標の称呼の認定の誤り
(1) 前記1の取引の実情からみて、引用商標は、その全体構成により「タマヤコーヒー」の称呼のみが生じ、「タマヤ」と略称される可能性はない。
(2) 前記2の外観上の強い一体性からみて、引用商標からは、「タマヤコーヒー」という、冗長ではなく、無理なく一気一息に称呼し得る一連の称呼が生じる。

4 類否判断の誤り
以上のとおり、外観においては本願商標の「珠屋」と引用商標の「珠屋珈琲」を、称呼においては本願商標の「タマヤ」と引用商標の「タマヤコーヒー」をそれぞれ比較すべきであるから、いずれも明確に区別することができる。
観念において比較することができないことは、本件審決のとおりである。
したがって、本願商標と引用商標は類似しない。

第4 当裁判所の判断
1 取消事由(商標の類否判断の誤りによる商標法4条1項11号該当性判断の誤り)について
(1) 判断枠組み
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかも、その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決(昭和39年(行ツ)第110号)民集22巻2号399頁参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、みだりに分離観察すべきではないが、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合等、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、その部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されると解すべきである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決(昭和37年(オ)第953号)民集17巻12号1621頁、最高裁平成5年9月10日第二小法廷判決(平成3年(行ツ)第103号)民集47巻7号5009頁、最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決(平成19年(行ヒ)第223号)裁判集民事228号561頁参照)。

(2) 本願商標について
本願商標は、「珠屋」の漢字を大きく横書きし、その左側に、「珠」の漢字を白抜きで表した円の周囲に図案化された「TAMAYA」の欧文字を配置し、その外側を円で囲んでなる図形を表してなるものであり、これらの文字及び図形がいずれも茶系統の色で表されているものである。
そして、「珠屋」の文字部分と図形部分とは分離して配置されている上、「珠屋」の漢字が大きくはっきりと表されているのに対し、図形部分は全体が「珠屋」の文字部分の漢字一文字よりも小さく、その構成中の文字はさらに小さく表されているものである。
そうすると、本願商標の「珠屋」の文字部分は、本願商標に接する取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められ、本願商標の要部に当たるというべきである。
称呼については、本願商標の要部である「珠屋」の文字部分からは「タマヤ」の称呼が生じ、図形部分からも「タマヤ」の称呼が生じ得る。
観念については、「珠屋」は辞書類に掲載されている成語ではなく、何らかの屋号等の固有名称であると抽象的に観念し得るとしても、特定の観念が生じるとはいえない。

(3) 引用商標について
ア 「珈琲」の文字部分について
引用商標の構成中、「珈琲」の文字部分は、一般消費者に慣れ親しまれ、日常的に摂取されている飲料である「コーヒー」の漢字表記である(乙4)。
そして、引用商標の指定役務中、「飲食物の提供」の役務を提供する業界にあっては、飲食店の名称に主として提供する飲食物の名称である「ステーキ」「ピザ」「ラーメン」等の語を含めたものとする例は多く(乙5~10)、「コーヒーを主とする飲食物の提供」の役務を提供する業界にあっても、例えば「椿屋珈琲」「寿屋珈琲」などのように、「○○珈琲」との構成からなる文字をもって飲食店の名称とする例が多数あると認められ(乙11~31)、広く一般に定着しているといえる。

そうすると、引用商標の「珈琲」の文字部分は、引用商標の指定役務中「コーヒーを主とする飲食物の提供、飲食物の提供」との関係では、その役務において主として提供される飲食物が「コーヒー」であること、すなわち、役務の内容を表示したものと認識させるにとどまるものといえ、出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる。

イ 「珠屋」の文字部分について
引用商標の構成中、「珠屋」の文字部分は、本願商標の「珠屋」の文字部分と同じく、辞書類に掲載されている成語ではなく、何らかの屋号等の固有名称であると抽象的に観念し得るとしても、特定の観念が生じるとはいえない。
そうすると、「珠屋」の文字部分は、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとまではいえないとしても、一定以上の自他役務識別力を有する部分といえる。
また、一般に簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、商標の一部だけによって簡略に称呼、観念されることもしばしばある。「コーヒーを主とする飲食物の提供」の役務を提供する業界においても、例えば「椿屋珈琲」についてのグルメ情報記事(乙11)、「猿田彦珈琲」及び「千成屋珈琲」についての各新聞記事(乙20、23)において、それぞれ「椿屋」「猿田彦」「千成屋」とも記述されているとおり、「珈琲」以外の部分が自他役務識別力を有するような場合には、当該部分のみによって称呼、観念されることがあると認められる。

ウ 分離観察の可否
以上を踏まえると、引用商標「珠屋珈琲」は、「珈琲」の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないのに対し、「珠屋」の部分は一定以上の自他役務識別力を有し、前記の取引の実情をも考慮すると、「珠屋珈琲」が標準文字の漢字4文字からなるひとまとまりの外観を有し、「タマヤコーヒー」の称呼が無理なく一気一息に称呼し得るとしても、分離観察をすることが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとは認められないから、「珠屋」の部分を抽出し、その部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
……

(7) 結論
したがって、本願商標は、商標法4条1項11号に該当するから、本件審決の判断に誤りはない。

                 知的財産高等裁判所第2部

 11月22日(土曜日)は強風故に登山指数がCでしたが、23日(日曜日)は登山指数がAでしたので、23日に初冬の那須岳に登って来ました。アイゼンを持って来るのを忘れていた為、登る時は然程の苦労はなかったのですが、下る時は注意が必要でした。

  皆様は下記二つの商標が似ているか似ていないのどちらにお感じになられますか?

 特許庁は、大きな文字で目立つ「けやき」と「KEYAKI」とが、共に、称呼が「ケヤキ」である為、両者が類似と判断しましたが…

 さて、飲食物の提供の分野では「けやき」がありふれた店舗名である事を主張した出願人の勝利です。
 すなわち、「けやき」「KEYAKI」は類否に大きな影響力はないと判断されました。
 

令和7年(行ケ)第10050号 審決取消請求事件

主文

1 特許庁が不服2024-5348号事件について令和7年3月25日にした審決を取り消す。

第4 当裁判所の判断

1 取消事由(商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り)について

(1) 商標法4条1項11号における商標の類否判断の基準商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、その判断に当たっては、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。

また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。ただし、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、商標の外観等に照らし、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者がこれを分離して理解・把握し、当該構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられる場合など、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。

そして、上記のとおり、商標の構成部分の一部を抽出して当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合においても、分離して観察される部分の出所識別標識としての機能には自ずと強弱があるのであるから、一律に当該部分だけに着目して商標の類否を判断するのは相当でなく、当該部分の出所識別標識としての機能が弱い場合においては、他人の商標と外観、称呼及び観念の全てが一致しているときは格別、そうでないときには、他の構成部分も考慮した上で、対比される両商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを判断するのが相当である。

(2) 本願商標及び引用商標の構成について

……これに対し、「KEYAKI BEEF TONGUE」部分の文字及び本願図形部分2の「欅」の文字部分は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、本願文字部分のうち上段「牛たん」部分及び中段「けやき」部分は、下段「KEYAKI BEEF TONGUE」部分及び本願図形部分2から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、これを分離して理解・把握すると認められる。

 さらに、「牛たん」の文字部分と「けやき」の文字部分は、二段に配され、「けやき」は、「牛たん」に比して大きめの文字で表記されているため、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、「けやき」の文字部分を分離して理解・把握するといえる。

 そして、「けやき」の文字部分は、ニレの落葉高木であるケヤキ(以下「本件樹木」という。)の名称として知られるものあり(甲7)、本願商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを本願商標の要部として、当該部分を引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される。一方、「KEYAKI BEEF TONGUE」の文字部分及び本件図形部分2の「欅」の文字部分は、上記のとおり、取引者、需要者が、注意深く観察しなければ読み取ることが困難であるから、独立した出所識別標識としての機能を果たすとはいえず、本願商標の要部にはなり得ない。

……引用商標のうち、引用文字部分と、引用図形部分とは、視覚上、上下に重なることなく配置されていることに加え、上側の引用図形部分は図形、下側の引用文字部分は文字であるから、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者は両者を分離して理解・把握すると認められる。

 また、引用文字部分のうち、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分に比して、顕著に大きく、明瞭に識別することができるように表示されている。

 これに対し、「JAPANESE」「CUISINE」の文字は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、引用文字部分のうち「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者はこれを分離して理解・把握すると認められる。

 加えて、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、前記アで述べたとおり、本件樹木の名称として知られるものであり、引用商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを引用商標の要部として、当該部分を本願商標と比較して商標の類否を判断することも許される。

(4) 本願商標と引用商標の類否

……本願商標の「けやき」との文字部分は、前記(3)アで述べたとおり、出所識別標識としての機能を一定程度有しているといえる。一方、証拠(甲10~12)によれば、全国の飲食店が掲載されている飲食店検索サイトにおいて、キーワード「けやき」で検索した場合には2648件、キーワード「ケヤキ」で検索した場合には289件の飲食店が該当すると認められ、全国において、本件樹木の名称を指す店名(「欅」「けや木」「KEYAKI」等)を付した飲食店は相当数存在することが認められる。そうすると、本件樹木の名称は、飲食店の店名に比較的よく使用されるものとして、取引者、需要者に知られているものと推認されるから、指定役務である「飲食物の提供」との関係において、「けやき」の文字部分の出所識別標識としての機能は弱いものと言わざるを得ない。

 そして、本願商標の「けやき」の文字は、線同士が交差する部分の一部に空白を設けた特徴のあるデザインのひらがな3文字で構成されるのに対し、引用商標の要部である「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、欧文字6文字及び筆書き風の漢字1文字で構成されており、両者は構成する文字数、文字の種類及びデザインが異なるから、外観において明らかに相違する。

 したがって、本願商標と引用商標の類否を判断するに当たっては、本願商標の「けやき」の文字部分以外の構成部分も考慮した上で、本願商標と引用商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを検討する必要がある。

イ 本願商標の「けやき」の文字部分と、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分の外観が相違することは、上記ア()で述べたとおりである。

 次に、本願商標の「けやき」の文字部分からは、「ケヤキ」の称呼を生じるのに対し、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からも、「ケヤキ」の称呼を生じ、称呼においては、いずれも同一である。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」の文字部分も勘案すれば、本願商標からは、「ケヤキ」のほか、「ギュウタンケヤキ」との称呼も生じ、この称呼については、「ギュウタン」との音の有無によって引用商標とは語感が異なるから、称呼において相違するといえる。

 さらに、本願商標の「けやき」の文字部分並びに引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からは、いずれも本件樹木の観念を生じる。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」との文字部分も勘案すれば、本件樹木のほか、「牛たんを提供するけやきという名称の飲食店」との観念も生じ、この観念については、引用商標と相違する。

ウ 以上を踏まえて、本件商標と引用商標の類否について検討するに、 本願商標と引用商標は、外観において異なることに加え、本願商標から生じる2つの称呼及び観念のうち一方は、引用商標と異なる。これらを総合すると、取引者、需要者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本願商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。

(5) 小括

 以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項11号に該当しないから、本件審決には取消事由がある。

           知的財産高等裁判所第4部

 田部井淳子さんの映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」を見て来ました。もう何十年も映画館に足を運んだ事が有りませんでしたが、連れ合いが見に行こうと言う事で見に行ったのです。何が何でもエベレスト登頂を目指し、また、癌に掛かっても富士山に登る彼女のポジティブな生き方には見習わなきゃと思いました。

 一歩一歩足を出して行くだけで、いつかは登頂です。

 宇高も是からも一歩一歩前に進んで行きます。

 

高速道路の料金所において、ETCカードを差し込み忘れていた場合に、

 宇高は、
「ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段」
に出会った事がなかったので、本件訴訟において、特許権者を勝訴させた一審・東京地裁はどんな論理展開をしたのだろうかと令和5年(ワ)第70079号判決書を興味深く探したのですが、残念な事にネットでは見付かりませんでした。

 ところで、
「ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段」

を備えた料金所が有ったから、一審・東京地裁は特許権者を勝訴させた?

 宇高もETCカードを差し込み忘れて料金所に進んでしまった事が有りました。
 しかし、こんな時バックさせると事故の元ですから、NEXCOが「ETC車専用出入口手前へ戻るルート」を採用する筈がないと宇高は思うのですが…。バックさせて事故が起きたら、NEXCOが損害を負担するのでしょうかね。 又、ETCカードの差し込み忘れなんて多くはないレアケースの為に、コストが掛かる「一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導」も、採用する筈がないと宇高は思うのですがね…。

 誰がみても、本件特許訴訟で特許権者が勝訴する筈がなかったと宇高は思います。

 だから、知財高裁で引っ繰り返ったとは言うものの、一審・東京地裁では特許権者が勝訴だったとのは面白い裁判だっでしょうね。

 特許権者は一審で勝訴して大金を稼いだと思ったでしょうに、出費だけが嵩んだようですね。儲かったのは原告・特許権者の代理人のみ?

 

ETCカード事件

令和7年(ネ)第10043号 損害賠償請求控訴事件

(原審・東京地方裁判所令和5年(ワ)第70079号)

         控訴人     中日本高速道路株式会社

         被控訴人    有限会社PXZ

主 文

1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。

2 上記の部分につき、被控訴人の請求を棄却する。

3 訴訟費用は第1、2審を通じて被控訴人の負担とする。

 

事実及び理由

第2 事案の概要等(略語は特記するもののほか原判決の例による。)

1 請求の要旨

 本件は、発明の名称を「車両誘導システム」とする特許第6159845号の特許(本件特許)に係る特許権(本件特許権)の特許権者である被控訴人が、原判決別紙物件目録記載1~5の各システム(被告各システム)が本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る各発明(本件各発明)の技術的範囲に属するから、控訴人による被告各システムの使用は本件特許権を侵害する行為であると主張して、控訴人に対し、民法709条に基づき、特許法102条3項により算定された損害として、6億6860万5594円並びにうち3億4352万3659円(本件特許権の登録日である平成29年6月16日から平成29年法律第44号による改正後の民法の施行日の前日である令和2年3月31日までの被告各システムの使用により生じた損害)に対する令和2年3月31日から支払済みまで改正前民法所定の年5%の割合による遅延損害金及びうち3億2508万1935円(同改正後の民法の施行日である令和2年4月1日から本件請求に係る侵害期間の最終日である令和4年9月30日までの被告各システムの使用により生じた損害)に対する令和4年9月30日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

 原審は、2億6744万2241円及びこれに対する令和4年9月30日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で被控訴人の請求を認容した。

 これに対し、控訴人が原判決を不服として控訴を提起した。

 

特許第6159845号

【請求項1】

 有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに設置されている、ETC車専用出入口から出入りをする車両を誘導するシステムであって、

 前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに出入りをする車両を検知する第1の検知手段と、

 前記第1の検知手段に対応して設置された第1の遮断機と、

 車両に搭載されたETC車載器とデータを通信する通信手段と、

 前記通信手段によって受信したデータを認識して、ETCによる料金徴収が可能か判定する判定手段と、

 前記判定手段により判定した結果に従って、ETCによる料金徴収が可能な車両を、ETCゲートを通って前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアに入る、または前記有料道路料金所、サービスエリア又はパーキングエリアから出るルートへ通じる第1のレーンへ誘導し、ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段

と、を備え、

 前記誘導手段は、前記第1のレーンに設けられた第2の遮断機と、前記第2のレーンに設けられた第3の遮断機と、を含み、

 さらに、前記第2の遮断機を通過した車両を検知する第2の検知手段と、前記第3の遮断機を通過した車両を検知する第3の検知手段と、を備え、

 前記第1の検知手段により車両の進入が検知された場合、前記車両が通過した後に、前記第1の遮断機を下ろし、前記第2の検知手段により車両の通過が検知された場合、前記車両が通過した後に、前記第2の遮断機を下ろすことを特徴とする車両誘導システム。

 

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所は、被告各システムは本件各発明の技術的範囲に属さないから、控訴人が被告各システムを使用することは、被控訴人の特許権を侵害する行為には当たらず、被控訴人の請求には理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおりである。

 

(4) 小括

 以上に検討したとおり、被告各システムは、いずれも、「ETCによる料金徴収が不可能な車両を、再度前記ETC車専用出入口手前へ戻るルート又は一般車用出入口に通じる第2のレーンへ誘導する誘導手段」を備えておらず、本件各発明の構成要件Fを充足しない。

4 結論

 以上によると、その余の争点について検討するまでもなく、被控訴人の請求は理由がないから全部棄却すべきところ、これを一部認容した原判決は失当であり、本件控訴は理由があるから、原判決中控訴人の敗訴部分を取り消した上、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。

          知的財産高等裁判所第1部

登録第5006976号商標:恋苺
登録第6438678号商標:あわ恋いちご

「あわ恋いちご」と登録第5006976号商標「恋苺」との間で誤認・混同が起きるか否かが争われました。

被告は徳島県の苺栽培者であった事から「あわ恋いちご」の「あわ」に「阿波」「徳島県」を連想させたい思惑が有ったように思われますが、この思惑が本件訴訟では致命傷になりました。

被告が使用態様「パッケージ」に注意していたならば、即ち、

パッケージに「徳島県産」「阿波」「阿波踊り」を記載せず、

「淡い恋のような味がするあわ恋いちご」を記載していたならば、

被告は負けなかったでしょうね。

本件は、商標のみでなく、その使用形態に注意が必用と言う事例です。

  令和6年(ワ)第5007号 商標権侵害差止請求事件

主 文

1 被告は、いちご商品に別紙被告標章目録記載の標章を付し、同商品を販売してはならない。2 被告は、別紙被告標章目録記載の標章を付した前項記載の商品から、同標章を抹消せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求   主文同旨

第2 事案の概要

(1) 本件商標:商標登録第5006976号に係る商標「恋苺」

(2) 被告標章:上記の標章

第3 争点に関する当事者の主張

1 争点1(本件商標と被告標章が類似するか)について

【原告の主張】
(1) 被告標章の要部被告標章は、平仮名2文字「あわ」、漢字1文字「恋」、平仮名3文字「いちご」で構成される。冒頭の「あわ」は、3文字目が「恋」という独立した意味の漢字であるから、「あわ」部分が一つのまとまりとして受け止められ、取引者・需要者において徳島地方の旧称「阿波」を想起させる。そうすると、「あわ」の部分は、商品の産地又は販売地を意味するにすぎず、商品の出所識別機能を有さない。よって、被告標章の要部は、「恋いちご」の構成部分である。

【被告の主張】
(1) 被告標章の要部
複数の構成部分を組み合わせた結合商標について、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。被告標章は「あわ」「恋」「いちご」から構成されるが、各部分は同じ書体、文字の大きさで等間隔に一行で表記されているから、一連の語の全体が識別機能を果たし、「恋いちご」のみが強く支配的な印象を与えるものではない。よって、「恋いちご」部分のみを抽出して類否判断をすべきではなく、被告標章の要部は「あわ恋いちご」全体である。
被告標章は、「あわ」「恋」「いちご」から構成され、「あわ」の部分からは、地方名称の「阿波」のみならず「淡」「泡」などが想起され得るが、「恋」と組み合わせられていることや被告標章の字体が丸みを帯びた書体であることから、「あわ恋」部分からは「淡い恋」が想起される。実際、「あわ恋」は、ある限られた人やシチュエーションでないと経験できないとの認識で命名されたものであり、……

第4 判断
1 争点1(本件商標と被告標章が類似するか)について
(1) 判断手法
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得るかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民22巻2号399頁、最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11 日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合のほか、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)10 第223号同20年9月8日第二小法廷判決・集民228号561頁参照)。

(2) 本件商標と被告標章の対比
ア 分離観察の可否
() 本件商標は、明朝体風の漢字2文字(「恋」「苺」)が縦書きされたものであり、各文字の大きさ及び色彩は同一である。
() 被告標章は、やや丸みのあるPOP体風の平仮名2文字(「あわ」)漢字1文字(「恋」)及び平仮名3文字(「いちご」)が、等間隔にやや円弧状に横書きされたもので、各文字の大きさ及び色彩は同一であり、まとまりよく構成されている。他方、被告標章のうち「あわ」部分については、「あわ」には「泡、粟、安房(千葉県南部の旧称)、阿波(徳島県の旧称)」などの複数の意味があり、平仮名表記であるがゆえに多義的なものといえるところ、指定商品との関係において、「あわ」が、例えば「泡」の意味である場合、「あわ」部分も自他商品の識別力を有し得るとはいえるが、「あわ」が「阿波」及び「安房」の意味である場合、「あわ」部分は地域を示す普通名称にすぎない上、産地表示などが広く行われているいちごを指定商品としていることからも、上記識別力があるとはいえない。そうすると、被告標章については、需要者において、「あわ」部分が上記のように複数ある意味のうち、「泡」のように一定の識別力を持ち得る意味として受け取られるであろう取引の実情があるのであれば、「あわ」の識別力が否定できない結果、「恋いちご」の部分のみを抽出した類否判断が許されないことも想定される一方、被告標章が付されたパッケージの態様など取引の実情に照らし、需要者において、「あわ」が識別力を伴わない地域名称を意味し、産地や販売地を表示するものとして受け取られるのであれば、「恋いちご」の部分を抽出して本件商標と比較検討することが許されるものといえる(標章の分離観察の可否も、需要者の観点から商標類否を判断する過程そのものであるところ、取引の実情を踏まえるべきものといえる。)。

そして、本件の取引の実情をみると、被告各商品のパッケージには、被告標章のほかに、「徳島県産」とのいちごの産地を示す文字や「徳島県産 阿波のいちご」との文字が付記され、徳島県の伝統芸能である阿波踊りの踊り子や「阿波」と記載された提灯のイラストが目立つ態様で描かれている(甲3、4)ところ、被告標章の「あわ」の部分につき、漢字ではなく、平仮名表記とはいえ、需要者に対し、地域名称である「阿波」を意味し、産地を表示しているものと想起させる取引の実情があるといえるから、被告標章のうち「あわ」部分の識別力は否定され、「恋いちご」部分を抽出して、本件商標と比較検討することができるというべきである。

イ 原告商標と被告標章の分離部分の類否の検討
本件商標と被告標章の「恋いちご」部分を対比すると、外観は上記ア()のとおりであり、冒頭の「恋」の漢字において共通する一方、書体や「いちご」部分が漢字であるか平仮名であるかの違いこそあるものの、呼称としては、本件商標が「レンバイ」「レンマイ」「コイイチゴ」であるのに対し、被告標章の「恋いちご」部分も「コイイチゴ」であって、「コイイチゴ」の称呼において同一である。……被告標章の「恋いちご」部分に接した需要者(商品の取引者や消費者)は、本件商標と出所を誤認混同するおそれがあると認められ、両者は全体として類似するといえる。

第5 結論
以上によれば、原告の請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。

              大阪地方裁判所第21民事部

トイレ紙“3倍巻き”特許侵害訴訟 日本製紙クレシア株式会社:大王製紙株式会社

中心気圧:940hPa,最大風速:50m/s,時速:30km/h,9日現在:八丈島の東約120kmの台風22号(HALONG)です。伊豆諸島では線状降水帯による大雨との予報です。先日の線状降水帯による大雨で我が家の裏山では土砂崩れが起きました。台風下の皆様には大変な事とお察し申し上げます。
宇高は12日に瑞牆山に登る予定で台風が気になりましたが、予報からすると登山はOKです。

令和4年(ワ)第22517号 特許権侵害差止等請求事件

 日本製紙クレシア株式会社(3倍長トイレットロールペーパー):大王製紙株式会社(3.2倍長トイレットロールペーパー)の間で争われておりました特許権侵害訴訟事件(令和4年(ワ)第22517号特許権侵害差止等請求事件)において、
東京地裁の判決は特許権者(日本製紙クレシア株式会社)敗訴でした。
控訴は有り得ないと宇高は申しておりましたが、特許権者は控訴してました。

しかし、知的財産高等裁判所も、東京地裁と同じ結果、即ち、特許権侵害成立せずの判決でした。
判決文が未だ公開になっていないので、詳細は不明ですが、宇高は一審と同じ内容と考えております。

宇高は今回の訴訟で原告が提出した証拠資料が杜撰と感じてます。
特許権者および代理人は証拠資料の提出前に内容をチェックしたのかと疑問です。
イ号製品のエンボス形状、即ち、うねり曲線(添付ファイル)を一目したのみで、イ号製品が侵害しているとは断定できない事が明らかです

これでは特許権者が敗訴も当然でしょう。 原告・特許権者は無駄な費用を掛けたなあと感じております。

それから、注意しなければならなのは、宇高がセミナー「特許権侵害を想定した権利者側・侵害者側の特許請求の範囲・明細書の書き方および読み方」でも指摘している「クレイムにおける権利範囲(技術的範囲)の広狭」のみでなく、「侵害確認が容易か否か」「権利行使が容易か否か」も重要であると言う事です。
一読するのみでは本件特許(特許第6735251号)のクレイムにおける何が問題かと思われるかも知れませんが、今回の特許では「侵害確認が容易か否か」「権利行使が容易か否か」の観点からのクレイム作成に問題が有ったようにも思われます…

原告(特許権者)は控訴でしたが、一審で提出した資料は無かった事には出来ないので、この提出済みの資料を如何に矛盾なく処理するかが迫られたでしょう。

原告(特許権者)側が自ら勝手に倒れて呉れましたから、被告側にとっては対応が楽な訴訟でしょう。

特許第6735251号
【請求項1】
2プライに重ねられ、エンボスを有するトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
前記エンボスのエンボス深さが0.05~0.40mm、巻固さが0.3~1.4mm、巻長が63~103m、巻直径が105~134mm、巻密度が1.2~2.0m/cmであり、
前記トイレットペーパーの比容積が、4.0~6.5cm/gであり、前記エンボス1個当たりの面積が、2.5~6.0mmである
トイレットロール。

         判   決
原告    日本製紙クレシア株式会社
被告    大王製紙株式会社
         主      
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告は、別紙物件目録記載の各製品を製造し、譲渡し、又は譲渡の申出をしてはならない。
2 被告は、その占有に係る前項記載の製品を廃棄せよ。
3 被告は、原告に対し、3300万円及びこれに対する令和4年9月21日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第4 当裁判所の判断
2 構成要件1Bの充足性(争点1-1-2)について
(1) 構成要件1Bは、「前記エンボスのエンボス深さが0.05~0.40mm」というものであり、本件発明1のトイレットペーパーのエンボスのエンボス深さを定めている。

本件発明1のトイレットペーパーのエンボスのエンボス深さについては、本件明細書1の【0020】から【0025】までにその測定方法に関する記載があり、そこでは、【図4】、【図5】(a),(b)が参照されている。それらによれば、構成要件1Bのエンボス深さは、おおむね、以下のように測定されたものである。……

図5(b)の高さプロファイルは、実際のトイレットぺーパーの試料表面の凹凸を示す(測定)断面曲線Sであるが、トイレットペーパーの表面にある繊維塊などのノイズも含んでいるから、図6に示すように、高さプロファイルの断面曲線Sから…低減フィルタによって除去して輪郭曲線Wを計算する。この輪郭曲線Wのうち、上に凸となる2つの変曲点P1,P2と、変曲点P1,P2ではさまれる最小値を求め、これを深さの最小値Minとする。変曲点P1,P2の深さの値の平均値を深さの最大値Maxとする。そして、エンボス深さD=最大値Max-最小値Minとする。…

図5(b)

図6

(3) 原告は、各被告製品について、エンボス深さD、エンボス面積を測定した結果として実験結果報告書(甲10。以下「甲10報告書」という。)を提出する。

被告製品

……原告は、甲10報告書の測定結果に基づき、各被告製品が、構成要件1Bを充足する旨主張する。……甲51報告書では、P1,P2の特定について、「なお、ワンショット画像を見るとエンボスの位置やおおよその幅が確認できる。そこで、ワンショット画像やワンショット画像上に重ねて表示される断面曲線とを見ながら、断面曲線を観察することで、断面曲線のどこがエンボスに対応しているのかが理解できる。例えば、以下のワンショット画像の黄色の枠内にあるエンボスのエンボス深さを測定する場合、黄色の枠内に測定対象のエンボスがあり、これが断面曲線でいえば緑色の枠内の部分に対応することが理解できる。そこで、この位置における変曲点(P1,P2)を決定すると、「×」で示した箇所となる(各断面写真で示した「×」はこのようにして決定している。)。」と記載されている。…これらの点で、甲10報告書でエンボス深さDとされているのは、本件明細書1記載の測定方法によるエンボス深さDであるということはできないものである。…そして、甲51報告書によれば、各被告製品については、原告がエンボスとして特定した部分の中央に、断面曲線で上に凸の曲率極大点が認められるなど、そのエンボスが本件発明1のエンボス深さDを測定する際に想定されていた凹部形状のものであるかが必ずしも明らかではないほか、X-Y平面上のエンボスの高さプロファイルによって、エンボスの周縁frやその最長部aがどこに位置するのかを確定できるものとは必ずしもいえない。そうすると、そのようなエンボスが付された各被告製品のトイレットロールについてエンボスを10個選んで測定を行い、それらの平均値として一定の深さDを求めたとしても、本件発明1におけるエンボス深さDが測定できたということはできない。

宇高は、原告・特許権者が、どうして、こんなデータの資料を出したのだろうと不思議です。これでは勝利を放棄と言ってるも同然です。

(7) 以上によれば、原告測定方法は、本件明細書1に記載されたエンボス深さの測定方法とはいえず、原告測定方法に基づいた甲10報告書によって、各被告製品が構成要件1Bを充足するとは認めることはできない。

 類似品は大王製紙に限られません。
丸富製紙    トイレットペーパー 超ロング5倍巻き シングル 250m

  日本で一番長い「超ロングトイレットペーパー約7.11倍巻シングル 1ロール 」 356m
イトマンKS  トイレットペーパー 5倍 シングル 250m
アイリスプラザ トイレットペーパー シングル 250m 5倍巻き

 皆様、なんだ、日本製紙の製品よりも長いぞ! これを買おうとなりませんか?

 是も、日本製紙クレシア株式会社の特許請求の範囲に記載の発明が不必要に狭められ、即ち、「シングル」「250m」「356m」の言葉で簡単に権利範囲外になっているから、文句の一つも言えない。

日本製紙クレシア株式会社の特許請求の範囲に記載の「エンボス深さ」のみが問題ではなかったようです。

良い発明も、書き方次第で、役に立ち、又、役に立たなかったり…
頼りになる弁理士に依頼しよう!
手術に際して、ヘボ医者に頼んで、失敗して死んでから、文句を言っても始まりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AMAZON TECHNOLOGIES,INC.対WanPay Digital Marketing Co.,Ltd.

左上の図形商標は、台湾において、AMAZON TECHNOLOGIES,INC.が保有する登録商標です。

右上の図形商標は、台湾において、WanPay Digital Marketing Co.,Ltd.が出願し、登録になった商標です。

指定商品は、共に、コンピューターソフトウェアが含まれております。

AMAZON TECHNOLOGIES,INC.は、WanPay Digital Marketing Co.,Ltd.が出願・登録になった上記右上の登録商標に対して、AMAZON TECHNOLOGIES,INC.が保有・登録の左上の商標に類似するとの理由で、異議申立を行いました。この異議が認められました。

WanPay Digital Marketing Co.,Ltd.は異議申立による登録無効の決定を不服として控訴を提起しましたが、是は却下されました。是を受けて、WanPay Digital Marketing Co.,Ltd.は知的財産・商事裁判所に行政訴訟を提起し、第一審において、台湾特許庁の決定が覆され、双方の商標は類似していないとして、原処分を取り消す判決が下されました。

この判決に不服のAMAZON TECHNOLOGIES,INC.は最高裁判所に上訴しました。
その結果は、
知的財産・商事裁判所の判決は破棄、審理の差戻しが命じられました。

知的財産・商事裁判所による差戻し審では、最終的に、WanPay Digital Marketing Co.,Ltd.の主張は退けられ、AMAZON TECHNOLOGIES,INC.が勝訴の判決が下りました

特徴部分が此処まで似てると、AMAZON TECHNOLOGIES,INC.はパクられたと思ってしまうのも無理からぬかと思われます。

WanPay Digital Marketing Co.,Ltd.の図形にはダブルチェックマークが入っているから、両者は識別できるとも謂えますが、
商標の一部が他人の商標の全部、他人の商標の主要識別部分を含むものは、類似の程度が高いと認識されるでしょうね。

上記事件は台湾における取扱いですが、日本でも同様でしょう。

 

2

9月6日に北アルプスの涸沢に登りました。朝3時に起床で4時に自宅を出発です。中央道が渋滞で奥飛騨温泉郷・平湯温泉に到着したのが9時40分頃、急いで上高地行きのバスに乗り、上高地に到着が10時半頃でした。上高地を出発して3時間余りで横尾山荘に14時前に到着。涸沢の小屋に泊まらない者は、涸沢向けての横尾山荘からの出発は14時がタイムリミットで、途中の本谷橋で引き返して下さいとの忠告で、取り敢えず、横尾山荘に荷物を預けて急いで出発。当日は山登りには絶好の日和です。ヘッドライトを用意してましたが、暗くなる前には横尾山荘に帰って来る為、標準ペース(登り3時間で下り2時間)の倍の速度で登り始めました。目的地の涸沢の手前でタイムオーバーで下山せざるを得ませんでした。急ピッチでの上り下りで足を多少痛めたので、食事前に入浴して痛めた足をほぐしました。横尾山荘の食事は山小屋にしては上出来でした。写真は横尾山荘から上高地に下りる途中での前穂高です。こうして見てると前穂高の厳しさを実感します。 下山後には平湯温泉・ひらゆの森で1時間ほど日帰り入浴で楽しみました。帰宅は24時直前。

さて、知財情報です。今回の知財情報は商標に関する判例です。

令和6年(行ケ)第10107号 審決取消請求事件

主 文
1 特許庁が無効2023-890059号事件について令和6年11 月14日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。 

「キリンホールディングス株式会社(原告)」が、キリンフーズ株式会社(被告)の登録商標「キリンの図形+キリンフーズ」に対して無効審判を請求したものの、無効が不成立であったので、知財高裁に出訴して争われた事件です。

「キリン」の著名性からして、宇高は上記知財高裁の判決が妥当なものと考えます。

宇高が「キリンフーズ」から本件商標の依頼を受けた場合、クライアントには、登録になっても、キリンホールディングス株式会社からのクレームに拠って登録無効になる確率が高いから、変更した方が良いのではと言うアドバイスをしたでしょうね。
食品関連の商品において、
「キリンの図形+キリンフーズ」が登録になれば、キリンホールディングス株式会社は費用がどれだけ掛かろうとも登録阻止に全力を挙げるであろう事が予想されます。

 

令和7年(行ケ)第10025号 審決取消請求事件

令和7年(行ケ)第10026号 審決取消請求事件

主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

対象役務「ファッションショーの企画・運営等」に対する商標沖縄コレクション」「九州コレクション」は「沖縄で開催される有名デザイナーなどの発表するファッションショー」「九州で開催される有名デザイナーなどの発表するファッションショー」ほどの意味合いを認識させるに止まるから、沖縄コレクション」「九州コレクション」は、役務の質(内容)を表示するにすぎず、自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである旨の特許庁の審決に対して、
出願人が知財高裁に審決取消訴訟を提起した事件です。

「ミラノコレクション」「パリコレクション」「東京コレクション」と言った言葉がファッションショーの世界で周知ですから、特許庁や知財高裁の判断は妥当でしょう。

宇高が斯のような商標の出願依頼を受けた場合、ひょっとして登録になるかも知れませんが、登録にならない確率が高いとアドバイスしたでしょう。
それでもと謂われた場合、出願は致しますが、拒絶を受けた場合には、拒絶査定不服の審判、更には知財高裁への
出訴はしないですね。費用の無駄遣いでしょう。

 

令和6年(行ケ)第10103号 審決取消請求事件

主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

指定商品「ウィスキー」についての商標「シングルモルト金沢」について登録が争われた事例です。

う~ん 知財高裁まで出訴して登録を争う事件でしょうかね。


シングルモルトが一つの蒸溜所で製造されたモルト(大麦麦芽)のみを原料として造られたウイスキーである事は周知ですからね
案の定、
シングルモルト金沢」は石川県金沢市にある蒸留所で生産されたシングルモルトウィスキー」を認識させるにすぎず、これを指定商品に使用するときは、商品の品質、産地を普通に 用いられる方法で表示したものと理解させるにすぎないのであり、自他商品識別力を欠く旨の判断です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禁反言

南アルプス・鳳凰三山・薬師岳に登りました。山の朝夕は寒い位の温度でした。昼間と朝・夕の温度差に驚きます。
上の写真は午前4時半頃の太陽が雲に遮られてますが朝日が昇る時の山小屋近くからの写真で、下の写真は薬師岳に行く途中の富士山の写真です。雲海が素晴らしかったです。 

令和6年(ネ)第10074号損害賠償請求事件
(原審:令和5年(ワ)第70407号)

第6815560号特許発明は、

「【請求項1】
 
シート状部材を有して構成され、
 電子タバコの長手方向を第1方向としたとき、前記シート状部材に前記第1方向に沿って切込みが形成され、
 前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫通しない深さで形成されている電子タバコ用充填物。」
です。

     111: 電子タバコ用充填物  F: 切込み

本件訴訟において、
一審の東京地裁でも、二審の知財高裁でも、
被告製品は構成要件B「切込み」を充足せず、本件発明の技術的範囲に属しないものと判断する。

その理由は、次のとおり当審における争点1-1についての控訴人の補充的主張に対する判断を加えるほか、原判決「事実及び理由」の第3の1(24頁~)の説示のとおりであるから、これを引用する。

1 特許発明の技術的範囲は、願書に添付された特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず(特許法70条1項)、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとされている(同条2項)。

控訴人は、原判決が、構成要件Bの「切込み」の意義について、本件明細書の特定の記載に限定して考慮したものであり、特許請求の範囲の記載自体からは「切込み」の形成手段等が明らかでないとすれば、「切込み」の形成手段を特定のものに限定すべき理由はない旨主張する。

しかし、原判決は、特許請求の範囲における構成要件Bの「切込み」の意義が明らかでないことから本件明細書の記載全体を参酌してこれを解釈したものであって、一般的な意味が明らかなものについて本件明細書の特定の記載に限定して考慮したわけではないから、控訴人の主張はその前提を欠くものである。

2 控訴人は、各辞書の記載によれば、「切込み」は、「切目」(きれーめ、きりーめ)と同義の名詞であり、「切れたところ」を意味し、刃物を用いなくても「切れたところ」が形成される場合があることは自明である旨主張する。

各種辞書の「切込み」に関連する事項の記載は、第3の1(2)アにおいて控訴人が主張するとおりであるが、「切込み」については、切り込む(()())、「切り目を入れる」(())、「切る」(())という能動的な行為が想定され、さらに、それが刃物によることを明示する例が複数存在する(()())。また、「切目」(きれーめ)と、「切目」(きりーめ)を比較すると、後者が、より「切る」行為と結び付けられているところ、「切込み」について参照されているのは「切目」(きりーめ)の方である(()())。

このようなところからすれば、各種辞書の記載から、「切込み」とは、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味するとした原判決の説示は、相当なものである。

3 控訴人は、本件明細書に記載されたカッター刃、カミソリの刃、ロータリーカッター等は例示にとどまる旨主張する。しかし、前記2の「切込み」の辞書的意義と、本件明細書において刃物以外による「切込み」の形成手段について記載も示唆もないことに鑑みれば、当業者は、「切込み」が前記2のような意味を有すると理解すると解されるから、控訴人の主張は採用できない。(宇高は斯の個所の論理は不適切だろうと考えてます。

4 被告製品において、たばこスティック(ロッド)の長手方向に沿ってたばこ基体の表面に略平行に3本形成された筋状部分は捲縮加工工程における捲縮条件を制御することにより形成されたものであり、刃物によって形成されたものではないから、被告製品は構成要件Bを充足しない

斯の判決を読んで不思議に思わないでしょうか?
宇高は「切込み」の上位概念の適切な単語が見出せなかったが故に、「切込み」を使用したに過ぎないであろうと考えました。

だから、宇高は、原告・控訴人が、何故、「均等論」を主張しなかったのだろうと不思議でした。

「切込み」が、カッター刃に拠って出来たものであろうが、捲縮加工に拠って出来たものであろうが、その作用・効果は同等である旨を、何故、主張しなかったのだろうと不思議でした。

均等論を主張すれば、原告・控訴人が勝訴したのにと不思議でした。

ところで、裁判所は、全く、取り上げていなかったのですが、

被告は、
「切込み」に関する原告・特許出願人の意見書においての主張『引用文献1には、本願発明のシート状部材を貫通しない「切込み」についての開示はありません。引用文献1には、シート状部材を貫通しない窪み等に関し、均質化タバコ材料のテクスチャ加工シートは、複数の離間した窪みを含む点(段落0031など)、均質化タバコ材料のテクスチャ加工シートに実質的なリッジまたはコルゲーション(段落0033など)が形成される点が記載されています。しかし、引用文献1には、窪み、リッジ、コルゲーション等が切込みとして形成される点、例えば、窪み等が、シートをカッター等により切断して形成される点の開示や示唆は存在しません
を主張しております。

この被告の主張が裁判官によって採り上げられたか否かは明確では有りませんが、
東京地裁も知財高裁も、原告・特許出願人の意見書においての主張から、被告の製品は『刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成』に該当しないと判断したのだろうと思われます。

そして、本件特許出願に際しての意見書における特許出願人・原告の主張に基づけば、「辞書の記載から、「切込み」とは、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味」と言った「言葉遊び」しなくても済んだと思うのですが…

意見書における特許出願人の主張を鑑みますと、原告・控訴人が均等論を主張しなかったのも頷けます。

なぜならば、均等論を主張した時点で、被告・被控訴人は均等の第5要件「対象製品等が特許発明の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がな いこと(特段の事情)」を持ち出し、均等論は成立せずとの結論になったでしょうから…。

宇高は、均等論を主張しなかった時点で、即ち、訴訟を提起しようと考えた時点において、原告・控訴人は本件訴訟に勝ち目が無い事を理解していたであろうと思うのですが…

尤も、宇高は原告が上記の点を必ず検討したと思うのですが、どうもそうではなさそうです。

なぜならば、宇高は、原告・特許権者が上記の点を検討していたならば、勝訴は難しい事を理解・提訴しなかったのではと思うからです。

尚、拒絶理由通知に際して、特許出願人・代理人が『引用文献1には、窪み、リッジ、コルゲーション等が切込みとして形成される点、例えば、窪み等が、シートをカッター等により切断して形成される点の開示や示唆は存在しません。』を主張してます。斯の主張は、特許を勝ち取る為には主張せざるを得なかっただろうと宇高は考えます。

なぜならば、宇高は、上記主張をしなかった場合には、本願発明の「切込み」と引用文献1の「窪み、コルゲーション等」は同等と見做され、本件特許は成立しなかっただろうと考えるからです。

さっさと出願してれば良かった

雨がパラパラの日曜日に沼津に在る沼津アルプスに行って来ました。沼津アルプスは高々400m程度の低山ですが、ロープを持たねば上り下り出来ない個所も有り、アップダウンが厳しく、それなりにアルプスの名を汚しません。しかも、沼津湾を眺めながら歩く個所も有り、楽しい一日でした。

 

令和6年(行ケ)第10090号審決取消請求事件

面白いと言うと館林市に怒られそうです…

館林市マスコットキャラクター・その愛称「ぽんちゃん」が知財高裁で争われました。

 

館林市に住む原告が「ぽんちゃん」を商標出願しました。

特許庁・審査官は、標準文字で書された「ぽんちゃん」が商標法4条1項6号(公益団体の著名な商標)、商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当するとして拒絶査定しました。

出願人は拒絶査定に不服の審判を請求しました。

特許庁・審判官は「ぽんちゃん」が商標法4条1項6号(公益団体の著名な商標)に該当すると認定しました。審判の過程では、商標法4条1項7号も争われましたが、審決では「本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。」であって、商標法4条1項7号が挙げられませんでした。審判官は商標法4条1項7号での拒絶は無理だと考えたのでしょう?

 

出願人は斯の審決に不服で知財高裁に出訴しました。

知財高裁では商標法第4条第1項第6号に該当するか否かが争われました。

その結果、争われた「著名性」が満たされていない旨の判決を知財高裁は下しました。その理由が、「ぽんちゃん」は館林市では有名かも知れないが、群馬県まで広げてみると著名とまでは謂えないとの事です。

知財高裁の考えは次の通りです。

『商標法4条1項6号は、商標登録を受けることができない商標として、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」を規定する。その趣旨は、同号に掲げる団体の公益性に鑑み、その権威、信用を尊重するとともに、出所の混同を防いで取引者、需要者の利益を保護することにあると解される。このような趣旨に照らすと、同号にいう「著名なもの」というために、必ずしも、日本全国において広く知られていることを要するものとまでは解されない。すなわち、同号に掲げる団体や事業の地域性を考慮して、著名性の認定に当たり、地理的範囲を限定して考慮する余地があるといえる。 他方、同号に掲げる団体や事業を表示する標章は極めて多数にわたるために、同号は、対象となる標章を「著名なもの」と限定しているのであって、商標法上の他の規定(例えば、商標法4条1項8号)と完全に整合的に解すべき必要まではないが、少なくとも「著名」の字義に反するような解釈をすることは相当でない。このことは、著名性の地理的範囲についても同様であって、公益事業等を示す標章として特定の地域でのみ知られている標章と同一又は類似する商標の登録を禁止するとなると、本来であれば一般的に認められるべきはずの、商標権を取得して全国的に当該商標を使用する権利を過度に制約することになりかねない。  以上によると、商標法4条1項6号にいう「著名なもの」というためには、同号に掲げる団体や事業の地域性に照らし、必ずしも日本全国にわたって広く認識されている必要はないが、なお相応の規模の地理的範囲において広く認識されていることを要するものと解するのが相当である。

この知財高裁の判決を受けて、再度、拒絶査定不服の審判で争われているようです。

特許庁は、今度は、どう言う理由付けで拒絶に持ち込もうとするのかが興味深いですね。商標法4条1項7号(公序良俗違反)を挙げたいでしょうが、ちょっと難しい…

館林市が、さっさと、出願してれば良かったのでしょうが…。そうは言っても後の祭りです。

 

 本件商標「ぽんちゃん」は登録になりました。
 
登録第6968601号です。

 他にも、登録第6568756号、登録第6568757号、登録第6962541号、登録第6968600号として、「ぽんちゃん」が登録になっております。
 出願人・江森さんの勝利ですね。

 館林市観光協会が異議申立てを行っておりますが、知財高裁の判決からして、この異議申立ては無理でしょう。
 

 

 

 

 

 

 

分子量が699.91848の紫外線吸収剤は分子量が700以上の紫外線吸収剤に該当しないのか?

連休中、蔵王・熊野岳に登りました。4日は視界も悪く風速20m/s故にモスキート級の連れ合いが吹き飛ばされそうで途中下山、再度挑戦の5日は風速10m/s程度なので行ける所までと言う事で登り始めました。頂上まで行けたのは良いのですが、蔵王・御釡の湖面はエメラルドグリーンではなく、前日の雪で白濁になっておりました。

 

令和6年(ネ)第10026号特許権侵害行為差止等請求控訴事件

分子量が699.91848の紫外線吸収剤は分子量が700以上の紫外線吸収剤に該当しないとして数値限定発明特許で敗訴した事件


数値限定発明特許で勝訴させる為の論法は
こうすれば特許権者は勝訴に持ち込めた! 

判決文を読むと特許第4974971号の権利者の口惜しさが良く判ります。

【請求項1】
  ラクトン環構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造、N-置換マレイミド構造および無水マレイン酸構造から選ばれる少なくとも1種の環構造を主鎖に有する熱可塑性アクリル樹脂と、ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する分子量が700以上の紫外線吸収剤と、を含み、
  110℃以上のガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂組成物。
  ここで、前記ヒドロキシフェニルトリアジン骨格は、トリアジンと、トリアジンに結合した3つのヒドロキシフェニル基とからなる骨格

 

問題になったのは「分子量が700以上の紫外線吸収剤」の数値「700」です。

被告側の紫外線吸収剤の分子量は「699.91848」でした。

「分子量が700の紫外線吸収剤」と「分子量が699.91848の紫外線吸収剤」とは同じようなものと思うのが普通でしょうね。

しかし、その普通と思われるのが違うのが訴訟の面白いところでしょうか。

訴訟は知恵比べですね。その知恵比べで、今回は、特許権者が負けた訳です。

勿論、特許の審査にあっても、出願人・代理人と審査官との間での知恵比べです。

特許権者は、数値「700」は少数第1位の数字を四捨五入した数値と理解されるから、「700」=「699.5以上」であると理解すべきと主張しました。

更に、数値「700」に臨界的意義も無いのだと主張しております。

尤も、そうだとする、何故、「700以上」と限定したのかが理解できません…。しかも、出願時より「分子量が700以上の紫外線吸収剤」と限定しておりましたから…。

特許権者が均等侵害も主張した結果、知財高裁も数値「700」に臨界的意義が無い事を認め、均等の第1要件を充足する旨を判断しました。すなわち、数値「700」は発明の本質的な要件では無い事を認めた訳です。しかしながら、均等の第5要件(意識的除外等の特段の事情)を充足しない、即ち、分子量が700未満のものは権利範囲外である旨を特許権者が言っていた旨の判断を下しました。まあ是は理解できなくもないです。

「699.91848」を四捨五入する場合、通常は最後尾の数字を四捨五入でしょうから、「699.9185」です。

「699.91848」の小数第1位の数字「9」を四捨五入は通常では有り得ませんから、宇高は「699.9185」が「700」に相当と言うのは論理的に無理だったと思います。

特許法の超法規的判断「均等論」は、マキサカルシトール事件において、特許権者に極めて優位な立場を付与致しましたが、数値に関する点だけは従来の判断と同じでした。

数字に臨界的意義は乏しい(効果は漸近的に改善)と思われますから、とは言うものの拒絶理由通知に際しては臨界的意義が有るかのような反論を私達も致します。

私達はクレイムでは発明者が提案の数値よりも幅広く記載しております。その大幅に広目で設定した範囲外のものが出て来た場合、現状では致し方ないようです。

しかし、今回の知財高裁の判断で、数値限定発明でも均等の第1~第4要件をクリアできているので、第5要件もクリアできます。

本件は最高裁に上告していないようです。
宇高は特許権者が上告して争えば知財高裁の判決を引っ繰り返せたと考えております。
尤も、上告する為には、上告理由を考えなければなりませんが…

 

 

 

 

 

特許有効活用

 

雪の那須岳を歩きました。登山口に在る山の神様の鳥居が頭を残して雪に埋まっておりました。アイゼンを履いての登山で凍った個所でも安全に登れました。頂上から下る途中の昼頃より雪が降り始めましたが、登山中は風も雨もなく快晴で絶好の日よりでした。
下山後には温泉に浸かり満足な一日でした。

今回は知財高裁まで出訴して認められた特許第6754969号発明「ホストクラブ来店勧誘方法」に関してです。

 

本件特許発明の経緯は下記の通りです。
  出願日           2017年4月13日
  出願番号          特願2017-79818
  出願審査請求日       2017年8月2日
  早期審査に関する事情説明書 2017年8月3日
  拒絶理由通知        2017年9月5日
  意見書・補正書提出     2017年10月9日
  拒絶査定          2017年12月12日
  拒絶査定不服の審判     2018年3月12日
  審判番号          不服2018-3578
  補正書提出         2018年3月12日
  補正書提出         2018年5月11日
  審決(本件審判請求は成り立たない。) 2019年4月23日
  知財高裁での審決取消訴訟  令和元年(行ケ)第10072号
                令和2年3月17日判決言渡で勝訴
  審決(特許査定)      2020年7月7日


経緯を参照しますと、気合が入っていた事が判ります。

知財高裁まで出訴してますから、費用が掛かった事も読み取れます。

特許権者は本件特許をどのように有効活用しようとしたとお考えなさるでしょうか。

宇高は本件特許権による独占排他権の行使は余り考えていないように思います。

皆様も特許活用法を振り返ってみるのも宜しいかと思います。
有効活用法を御連絡頂きました皆様には、後日、ご報告したいと宇高は考えております。
宜しくお願い申し上げます。

本件特許発明
【請求項1】
  ホストクラブへの来店を勧誘させる方法であって、
  潜在顧客に対してホストクラブ来店勧誘キットを提供するステップを含んでおり、
  ホストクラブ来店勧誘キットは、スマートフォンを装着することにより仮想現実動画ファイルを再生して仮想現実動画を視聴し得る紙製の仮想現実ゴーグルと、ホストクラブ仮想体験サービス提供サーバーへのアクセス情報を表示したアクセス情報表示部とを備えており、
  ホストクラブ仮想体験サービス提供サーバーにはホストクラブ仮想体験サービス提供プログラムが実装されており、ホストクラブ仮想体験サービス提供サーバーの記憶部にはホストクラブを仮想体験させるホストクラブ仮想現実動画ファイルが記憶されており、
  ホストクラブ仮想体験サービス提供プログラムは、ホストクラブ仮想現実動画ファイルをスマートフォンに送って視聴させるプログラムであり、
  前記アクセス情報は、スマートフォンからの操作によりホストクラブ仮想体験サービス提供プログラムを実行可能にする情報であり、
  前記ホストクラブ仮想体験サービス提供サーバーの記憶部には、潜在顧客の心理状態に応じて選択され潜在顧客の心理状態に応じて異なるメンタルケアを行う複数の異なるホストクラブ仮想現実動画ファイルが記憶されており、
  前記ホストクラブ仮想体験サービス提供サーバーは、異なる心理状態の表記が各々されているとともに潜在顧客の心理状態に応じて選択される複数のコマンドボタンが設けれられた一つのウェブページを提供するものであり、各コマンドボタンは各ホストクラブ仮想現実動画ファイルに対応しており、選択されたコマンドボタンに対応するホストクラブ仮想現実動画ファイルをメンタルケアとしてスマートフォンに送って再生させることを特徴とするホストクラブ来店勧誘方法。

当社の3つの特徴

豊富な経験と高い技術力

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商標「2ちゃんねる」訴訟

 東京地裁の判決と知財高裁の判決とは、証拠資料を同じくするも、結果は真逆です。

 訴訟では、原告と被告との間での戦いですが、ターゲットは裁判官です。

 裁判官をより納得させる論理を構築した者が勝訴です。

 

 上記商標の商標権者である原告が、被告が電子掲示板に「2ちゃんねる」「2ch.net」の表示をする事は上記各商標権を侵害すると主張して、商標法第36条第1項又は不正競争防止法第3条第1項に基づき、被告標章の使用の差止め、及び商標権侵害につき民法709条,不正競争行為につき不正競争防止法第4条に基づき損害賠償1億7500万円及び平成29年1月19日から被告標章の使用を中止するまで月額500万円の割合による金員の支払を求めた事案です。

 

 一審・東京地裁の判決が

「1 本件訴えのうち,令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下する。

 2 被告は,その運営する掲示板に,別紙被告標章目録記載の各標章を使用してはならない。

 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。」

であったのに対して、

 二審・知財高裁の判決は

「1 控訴人の本件控訴に基づき、原判決主文3項を次のとおり変更する。

  (1) 被控訴人は、控訴人に対し、2億1700万円を支払え。

  (2) 控訴人の損害賠償請求のうち令和元年11月1日までに生ずべき損害賠償金の支払を求める部分のその余の請求及び「2ch.net」のドメイン名の使用の差止めを求める控訴人の請求をいずれも棄却する。

 2 被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文2項を取り消し、同項に係る控訴人の請求を棄却する。」

でした。

 

 

平成29年(ワ)第3428号 商標権侵害差止等請求事件

 【東京地方裁判所民事第46部における判決】

    主 文

1 本件訴えのうち,令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下する。

2 被告は,その運営する掲示板に,別紙被告標章目録記載の各標章を使用してはならない。

3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 

(2) 争点1-2(被告は被告標章について先使用権を有するか)について

  (被告の主張)

  被告は,平成16年から平成29年9月30日まで,継続して本件電子掲示板を管理・運営し,不正競争の目的によることなく,原告による原告商標の出願日以前から被告標章を使用していた。

 また,本件電子掲示板の事業において,被告標章は,原告商標の出願以前から需要者の間に広く認識されており,周知であった。

 したがって,被告には,被告標章1及び2につき先使用権が認められる。

  (原告の主張)

 平成11年以降平成26年2月19日まで,本件電子掲示板を運営していたのは原告である。上記期間,原告は,被告に対し,本件電子掲示板のサーバのID・パスワードの管理と本件ドメイン名の管理を委託していたにすぎない。本件電子掲示板を平成16年から運営している旨の被告の主張は,本件電子掲示板の運営主体という極めて基本的事項について主張が変遷しており,信用できない。

 また,原告商標1及び2の出願当時において,被告標章1及び2が被告の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていなかったことは明らかである。

 さらに,被告は,平成26年2月19日に原告が本件電子掲示板のサーバにアクセスできないようにして本件電子掲示板を乗っ取ったのであるから,「不正競争の目的」(商標法32条1項前段)が認められる。

 したがって,被告には,被告標章1及び2につき先使用権は認められない。

 

第3 当裁判所の判断

 ……

 争点1-2(被告は被告標章について先使用権を有するか)について

 被告は,原告商標の出願日の前から,被告標章を使用して本件電子掲示板を管理・運営していたとし,被告標章につき先使用権を有する旨主張する。

 前提事実2⑷及び前記2のとおり,原告商標1及び2の指定役務と本件電子掲示板の役務は同一であり,被告標章は原告商標と,それぞれ同一又は類似する。

 前記認定事実によれば,本件電子掲示板は,①平成11年に開設され,平成12年に西鉄バスジャック事件の犯人とされる少年が同掲示板に犯行予告を書き込むなどの出来事もあって社会的に注目を集めるようになり,平成14年頃には利用者が急激に増加し(前記2⑵ア,ウ,エ),②平成16年及び平成17年には本件電子掲示板に掲載された投稿をほぼそのまま出版した「電車男」が話題となり,インターネットに係る複数の賞を受賞し,これがネットニュースで報道され(前記2⑵カ),③平成18年頃には,本件電子掲示板の名称である「2ちゃんねる」という言葉がマスコミにおいて頻繁に登場したり,本件電子掲示板内において使用される用語が一般の雑誌においても使われたり,電子掲示板を利用しない一般人の間でも本件電子掲示板が話題に上ったりするようになった(前記2⑵キ)。

 これらによれば,本件電子掲示板のトップページ等に表示されていた被告標章1及び2は,遅くとも,平成18年には,本件電子掲示板に係る役務を表示するものとして,全国の需要者の間に広く認識されるに至ったと認めることができる。そして,平成25年3月当時,本件電子掲示板の月間の閲覧数が29億にのぼるとして「日本語圏最大級のネットコミュニティ」などと宣伝されていたことに照らせば(前記2⑵ス),原告商標が出願された日においても,上記周知性が維持,継続していたものと認められる。

 ……

 以上によれば,被告は,被告標章につき先使用権を有すると認められ,平成26年2月19日から,被告が継続して本件電子掲示板を運営していた平成29年9月30日までの期間については(前記前提事実⑸),被告による被告標章の使用は,同先使用権に基づくものとして原告商を侵害しない。

 また,前記2⑵ツによれば,本件電子掲示板は,平成29年10月1日から平成30年4月までの間に Loki 社が運営するようになり,名称は「5ちゃんねる」と,ドメイン名は「https://5ch.net」と変更され,トップページ等における被告標章の表示も削除されたことが認められる。そうすると,平成29年10月1日以降,被告が本件電子掲示板を運営し,被告標章の使用を継続していた期間については,その使用は先使用権に基づくものとして原告商標を侵害しないといえ,Loki 社が運営を開始して以降は,被告が被告標章を本件電子掲示板のトップページ等に表示して使用した事実は認められない。

 したがって,原告の商標権に基づく損害賠償請求には理由がない。なお,

原告商標1及び2に基づく差止めの必要性については,後記6のとおりであ

る。

……

8 結論

 よって,本件訴えのうち令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えは不適法であるから却下し,商標権に基づく被告標章の差止請求には理由があるからこれを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,仮執行宣言は相当でないのでこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。

 

 

令和2年(ネ)第10009号、同年(ネ)第10037号 商標権侵害差止等請求控訴事件、同附帯控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(ワ)第3428号)

 【知的財産高等裁判所第2部における判決】

    主 文

1 控訴人の本件控訴に基づき、原判決主文3項を次のとおり変更する。

(1) 被控訴人は、控訴人に対し、2億1700万円を支払え。

(2) 控訴人の損害賠償請求のうち令和元年11月1日までに生ずべき損害賠償金の支払を求める部分のその余の請求及び「2ch.net」のドメイン名の使用の差止めを求める控訴人の請求をいずれも棄却する。

2 被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文2項を取り消し、同項に係る控訴人の請求を棄却する。

3 訴訟費用(控訴費用、附帯控訴費用を含む。)は、第1、2審を通じてこれを10分し、その6を被控訴人の負担とし、その余を控訴人の負担とする。

 

第3 当裁判所の判断

 当裁判所は、控訴人の本件訴えのうち当審の口頭弁論終結の日の翌日である令和4年11月29日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分は不適法であるが、その余の本件損害賠償請求の一部については理由があり、また、控訴人の被告標章差止請求及び本件ドメイン差止請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、前記第2の4の当審における当事者の補充主張に対する判断を含め、次のとおりである。

 ……平成18年5月12日発行の「2ちゃんねる公式ガイド2006」にも控訴人が本件電子掲示板の生みの親であることなどが記載されていたこと(同(2)カ、キ)のほか、その後も控訴人が平成18年当時本件電子掲示板の管理人であったことに沿う事実が認められること(同(2)ク~シ・セ・ト)を考慮すると、前記(1)で原判決の第3の4(3)を訂正の上で引用して認定したように「2ちゃんねる」の標章及び「2ch.net」の標章が周知性を獲得したというべき平成18年の時点において、その役務の提供の主体は、控訴人であったというべきである。

 イ() 他方で、本件全証拠をもってしても、平成18年の時点及びそれ以降平成26年3月27日(原告商標2の出願日)までのいずれかの時点において、「2ちゃんねる」の標章及び「2ch.net」の標章が、NTテクノロジー社又は被控訴人の業務に係る役務を表示するものとなったとみるべき事情は認められない。

 () この点、NTテクノロジー社については、本件電子掲示板のサーバを提供したこと(前記2(2)())や、PINKちゃんねるを開設し、2ちゃんねるビューアの販売及び運営を行うようになったこと(同(2)ウ)、平成14年頃以降、本件電子掲示板の広告料の売上げからの送金を受けていたほか、2ちゃんねるビューア「●」の売上げを取得していたこと(同(2)ウ・エ)、本件ドメイン名について平成17年5月10日時点でAが運営面に関する連絡先として登録されたりNTテクノロジー社が登録サービス提供者として登録されたりしていたこと(同(3)イ~カ)が認められる。

 しかし、サーバの提供者が直ちに当該サーバを用いた事業の運営者となるものではないことは明らかである。……

(3) まとめ

 以上によると、その余の点について判断するまでもなく、被控訴人が被告標章について先使用権を有するものとは認められない。

……

第4 結論

 以上によると、控訴人の本件訴えのうち当審の口頭弁論終結日の翌日である令和4年11月29日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えは不適法であるから却下すべきであり、その余の本件損害賠償請求につき、2億1700万円の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却すべきであり、また、控訴人の被告標章差止請求及び本件ドメイン差止請求には理由がないから棄却すべきところ、これと異なり、控訴人の被告標章差止請求を認容し、本件ドメイン差止請求を棄却し、控訴人の本件訴えのうち令和元年11月2日以降に生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下し、その余の本件損害賠償請求を棄却した原判決は一部失当であって、控訴人の控訴は一部理由があり、被控訴人の附帯控訴は理由があることから、控訴人の控訴に基づき、原判決主文3項を上記のとおり変更し(なお、原判決主文1項については、被控訴人がその変更を求めていない本件において原判決を控訴人の不利益に変更することは許されないことから、原判決が令和元年11月2日から令和4年11月28日までに生ずべき損害賠償金の支払を求める部分に係る訴えを却下したところについては変更しない。)、また、被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文2項を上記のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。

 veni-vidi-vici(来た、見た、勝った)】

役に立つ特許は当たり前じゃあないかと謂われる発明】

 下記の事例は斯の程度の発明でも特許出願したフィリップモリス社の知恵の賜物と宇高は考えてます。

 フィリップモリス社が所有する加熱式タバコの特許第6125008号の権利は下記の内容です。

【請求項1】
 
エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、前記装置は、

  エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、
 前記加熱要素に電力を供給するための電源と、
を備え、

 前記方法は、
  前記加熱要素に供給される前記電力を、前記装置を動作させた直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が前記少なくとも1つの加熱要素に供給され、第2段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度に低下するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給され、第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう制御するステップを含む、
ことを特徴とする方法。

 要約すると、
  タバコ吸い始め開始時は、加熱温度を急激に高くし、
  タバコが吸えるようになると加熱温度を低くし、
  終わり近くになると加熱温度を再度高くするものです。

 これは当然です。

 早く吸いたいから、加熱温度を高くして揮発成分を速やかに揮発させます。

 吸えるようになると、そのままの高い温度だと、揮発成分が短時間で揮発して無くなってしまうので、長時間に亘って吸う為には、加熱温度を下げる必要が有ります。下げても予熱されているから揮発成分は揮発します。

 吸い終わり近くになると、揮発成分が少なくなっているので、加熱温度を高くして、強制的に全てを揮発させます。

 こうすると、効率よく、かつ、無駄なくタバコが吸えるようになります。

  是は当たり前の技術と言えば当たり前です。

  この程度で特許?と言いたくなるのは当然でしょう。

 ライバル会社は特許無効を請求して争いましたが負けました。

 フィリップモリス社は東京地裁に訴えを提起(令和2年(ワ)第4331号特許権侵害行為差止請求事件および令和2年(ワ)第4332号特許権侵害行為差止請求事件)しました。

 一審で負けた被告は知財高裁に控訴(令和3年(ネ)第10072号特許権侵害行為差止請求控訴事件、令和4年(ネ)第10073号および同年(ネ)第10096号特許権侵害行為差止請求控訴事件)しました。

 最終的に、令和4年5月13日、令和5年3月23日判決言渡で、控訴審でも、フィリップモリス社の勝訴です。

 

 フィリップモリス社のMarlbroMan Always Remember Love Because Of Romance Over)の箱にはモットーveni-vidi-vici(来た、見た、勝った):ポントスに勝利した際に、カエサルがローマ元老院に送った際の報告」が表示されております。今回の事件もモットー通りだったようです。

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