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雨がパラパラの日曜日に沼津に在る沼津アルプスに行って来ました。沼津アルプスは高々400m程度の低山ですが、ロープを持たねば上り下り出来ない個所も有り、アップダウンが厳しく、それなりにアルプスの名を汚しません。しかも、沼津湾を眺めながら歩く個所も有り、楽しい一日でした。
令和6年(行ケ)第10090号審決取消請求事件
面白いと言うと館林市に怒られそうです…
館林市マスコットキャラクター・その愛称「ぽんちゃん」が知財高裁で争われました。
館林市に住む原告が「ぽんちゃん」を商標出願しました。
特許庁・審査官は、標準文字で書された「ぽんちゃん」が商標法4条1項6号(公益団体の著名な商標)、商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当するとして拒絶査定しました。
出願人は拒絶査定に不服の審判を請求しました。
特許庁・審判官は「ぽんちゃん」が商標法4条1項6号(公益団体の著名な商標)に該当すると認定しました。審判の過程では、商標法4条1項7号も争われましたが、審決では「本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。」であって、商標法4条1項7号が挙げられませんでした。審判官は商標法4条1項7号での拒絶は無理だと考えたのでしょう?
出願人は斯の審決に不服で知財高裁に出訴しました。
知財高裁では商標法第4条第1項第6号に該当するか否かが争われました。
その結果、争われた「著名性」が満たされていない旨の判決を知財高裁は下しました。その理由が、「ぽんちゃん」は館林市では有名かも知れないが、群馬県まで広げてみると著名とまでは謂えないとの事です。
知財高裁の考えは次の通りです。
『商標法4条1項6号は、商標登録を受けることができない商標として、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」を規定する。その趣旨は、同号に掲げる団体の公益性に鑑み、その権威、信用を尊重するとともに、出所の混同を防いで取引者、需要者の利益を保護することにあると解される。このような趣旨に照らすと、同号にいう「著名なもの」というために、必ずしも、日本全国において広く知られていることを要するものとまでは解されない。すなわち、同号に掲げる団体や事業の地域性を考慮して、著名性の認定に当たり、地理的範囲を限定して考慮する余地があるといえる。 他方、同号に掲げる団体や事業を表示する標章は極めて多数にわたるために、同号は、対象となる標章を「著名なもの」と限定しているのであって、商標法上の他の規定(例えば、商標法4条1項8号)と完全に整合的に解すべき必要まではないが、少なくとも「著名」の字義に反するような解釈をすることは相当でない。このことは、著名性の地理的範囲についても同様であって、公益事業等を示す標章として特定の地域でのみ知られている標章と同一又は類似する商標の登録を禁止するとなると、本来であれば一般的に認められるべきはずの、商標権を取得して全国的に当該商標を使用する権利を過度に制約することになりかねない。 以上によると、商標法4条1項6号にいう「著名なもの」というためには、同号に掲げる団体や事業の地域性に照らし、必ずしも日本全国にわたって広く認識されている必要はないが、なお相応の規模の地理的範囲において広く認識されていることを要するものと解するのが相当である。』
この知財高裁の判決を受けて、再度、拒絶査定不服の審判で争われているようです。
特許庁は、今度は、どう言う理由付けで拒絶に持ち込もうとするのかが興味深いですね。商標法4条1項7号(公序良俗違反)を挙げたいでしょうが、ちょっと難しい…
館林市が、さっさと、出願してれば良かったのでしょうが…。そうは言っても後の祭りです。