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日本製紙クレシア株式会社⇔大王製紙株式会社

中心気圧:940hPa,最大風速:50m/s,時速:30km/h,9日現在:八丈島の東約120kmの台風22号(HALONG)です。伊豆諸島では線状降水帯による大雨との予報です。先日の線状降水帯による大雨で我が家の裏山では土砂崩れが起きました。台風下の皆様には大変な事とお察し申し上げます。
宇高は12日に瑞牆山に登る予定で台風が気になりましたが、予報からすると登山はOKです。

令和4年(ワ)第22517号 特許権侵害差止等請求事件

 日本製紙クレシア株式会社(3倍長トイレットロールペーパー):大王製紙株式会社(3.2倍長トイレットロールペーパー)の間で争われておりました特許権侵害訴訟事件(令和4年(ワ)第22517号特許権侵害差止等請求事件)において、
東京地裁の判決は特許権者(日本製紙クレシア株式会社)敗訴でした。
控訴は有り得ないと宇高は申しておりましたが、特許権者は控訴してました。

しかし、知的財産高等裁判所も、東京地裁と同じ結果、即ち、特許権侵害成立せずの判決でした。
判決文が未だ公開になっていないので、詳細は不明ですが、宇高は一審と同じ内容と考えております。

宇高は今回の訴訟で原告が提出した証拠資料が杜撰と感じてます。
特許権者および代理人は証拠資料の提出前に内容をチェックしたのかと疑問です。
イ号製品のエンボス形状、即ち、うねり曲線(添付ファイル)を一目したのみで、イ号製品が侵害しているとは断定できない事が明らかです

これでは特許権者が敗訴も当然でしょう。 原告・特許権者は無駄な費用を掛けたなあと感じております。

それから、注意しなければならなのは、宇高がセミナー「特許権侵害を想定した権利者側・侵害者側の特許請求の範囲・明細書の書き方および読み方」でも指摘している「クレイムにおける権利範囲(技術的範囲)の広狭」のみでなく、「侵害確認が容易か否か」「権利行使が容易か否か」も重要であると言う事です。
一読するのみでは本件特許(特許第6735251号)のクレイムにおける何が問題かと思われるかも知れませんが、今回の特許では「侵害確認が容易か否か」「権利行使が容易か否か」の観点からのクレイム作成に問題が有ったようにも思われます…

原告(特許権者)は控訴でしたが、一審で提出した資料は無かった事には出来ないので、この提出済みの資料を如何に矛盾なく処理するかが迫られたでしょう。

原告(特許権者)側が自ら勝手に倒れて呉れましたから、被告側にとっては対応が楽な訴訟でしょう。

特許第6735251号
【請求項1】
2プライに重ねられ、エンボスを有するトイレットペーパーをロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
前記エンボスのエンボス深さが0.05~0.40mm、巻固さが0.3~1.4mm、巻長が63~103m、巻直径が105~134mm、巻密度が1.2~2.0m/cmであり、
前記トイレットペーパーの比容積が、4.0~6.5cm/gであり、前記エンボス1個当たりの面積が、2.5~6.0mmである
トイレットロール。

         判   決
原告    日本製紙クレシア株式会社
被告    大王製紙株式会社
         主      
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
1 被告は、別紙物件目録記載の各製品を製造し、譲渡し、又は譲渡の申出をしてはならない。
2 被告は、その占有に係る前項記載の製品を廃棄せよ。
3 被告は、原告に対し、3300万円及びこれに対する令和4年9月21日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第4 当裁判所の判断
2 構成要件1Bの充足性(争点1-1-2)について
(1) 構成要件1Bは、「前記エンボスのエンボス深さが0.05~0.40mm」というものであり、本件発明1のトイレットペーパーのエンボスのエンボス深さを定めている。

本件発明1のトイレットペーパーのエンボスのエンボス深さについては、本件明細書1の【0020】から【0025】までにその測定方法に関する記載があり、そこでは、【図4】、【図5】(a),(b)が参照されている。それらによれば、構成要件1Bのエンボス深さは、おおむね、以下のように測定されたものである。……

図5(b)の高さプロファイルは、実際のトイレットぺーパーの試料表面の凹凸を示す(測定)断面曲線Sであるが、トイレットペーパーの表面にある繊維塊などのノイズも含んでいるから、図6に示すように、高さプロファイルの断面曲線Sから…低減フィルタによって除去して輪郭曲線Wを計算する。この輪郭曲線Wのうち、上に凸となる2つの変曲点P1,P2と、変曲点P1,P2ではさまれる最小値を求め、これを深さの最小値Minとする。変曲点P1,P2の深さの値の平均値を深さの最大値Maxとする。そして、エンボス深さD=最大値Max-最小値Minとする。…

図5(b)

図6

(3) 原告は、各被告製品について、エンボス深さD、エンボス面積を測定した結果として実験結果報告書(甲10。以下「甲10報告書」という。)を提出する。

被告製品

……原告は、甲10報告書の測定結果に基づき、各被告製品が、構成要件1Bを充足する旨主張する。……甲51報告書では、P1,P2の特定について、「なお、ワンショット画像を見るとエンボスの位置やおおよその幅が確認できる。そこで、ワンショット画像やワンショット画像上に重ねて表示される断面曲線とを見ながら、断面曲線を観察することで、断面曲線のどこがエンボスに対応しているのかが理解できる。例えば、以下のワンショット画像の黄色の枠内にあるエンボスのエンボス深さを測定する場合、黄色の枠内に測定対象のエンボスがあり、これが断面曲線でいえば緑色の枠内の部分に対応することが理解できる。そこで、この位置における変曲点(P1,P2)を決定すると、「×」で示した箇所となる(各断面写真で示した「×」はこのようにして決定している。)。」と記載されている。…これらの点で、甲10報告書でエンボス深さDとされているのは、本件明細書1記載の測定方法によるエンボス深さDであるということはできないものである。…そして、甲51報告書によれば、各被告製品については、原告がエンボスとして特定した部分の中央に、断面曲線で上に凸の曲率極大点が認められるなど、そのエンボスが本件発明1のエンボス深さDを測定する際に想定されていた凹部形状のものであるかが必ずしも明らかではないほか、X-Y平面上のエンボスの高さプロファイルによって、エンボスの周縁frやその最長部aがどこに位置するのかを確定できるものとは必ずしもいえない。そうすると、そのようなエンボスが付された各被告製品のトイレットロールについてエンボスを10個選んで測定を行い、それらの平均値として一定の深さDを求めたとしても、本件発明1におけるエンボス深さDが測定できたということはできない。

宇高は、原告・特許権者が、どうして、こんなデータの資料を出したのだろうと不思議です。これでは勝利を放棄と言ってるも同然です。

(7) 以上によれば、原告測定方法は、本件明細書1に記載されたエンボス深さの測定方法とはいえず、原告測定方法に基づいた甲10報告書によって、各被告製品が構成要件1Bを充足するとは認めることはできない。

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