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 11月22日(土曜日)は強風故に登山指数がCでしたが、23日(日曜日)は登山指数がAでしたので、23日に初冬の那須岳に登って来ました。アイゼンを持って来るのを忘れていた為、登る時は然程の苦労はなかったのですが、下る時は注意が必要でした。

  皆様は下記二つの商標が似ているか似ていないのどちらにお感じになられますか?

 特許庁は、大きな文字で目立つ「けやき」と「KEYAKI」とが、共に、称呼が「ケヤキ」である為、両者が類似と判断しましたが…

 さて、飲食物の提供の分野では「けやき」がありふれた店舗名である事を主張した出願人の勝利です。
 すなわち、「けやき」「KEYAKI」は類否に大きな影響力はないと判断されました。
 

令和7年(行ケ)第10050号 審決取消請求事件

主文

1 特許庁が不服2024-5348号事件について令和7年3月25日にした審決を取り消す。

第4 当裁判所の判断

1 取消事由(商標法4条1項11号に関する認定判断の誤り)について

(1) 商標法4条1項11号における商標の類否判断の基準商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、その判断に当たっては、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品又は役務の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。

また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。ただし、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合、商標の外観等に照らし、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者がこれを分離して理解・把握し、当該構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられる場合など、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。

そして、上記のとおり、商標の構成部分の一部を抽出して当該部分を他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される場合においても、分離して観察される部分の出所識別標識としての機能には自ずと強弱があるのであるから、一律に当該部分だけに着目して商標の類否を判断するのは相当でなく、当該部分の出所識別標識としての機能が弱い場合においては、他人の商標と外観、称呼及び観念の全てが一致しているときは格別、そうでないときには、他の構成部分も考慮した上で、対比される両商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを判断するのが相当である。

(2) 本願商標及び引用商標の構成について

……これに対し、「KEYAKI BEEF TONGUE」部分の文字及び本願図形部分2の「欅」の文字部分は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、本願文字部分のうち上段「牛たん」部分及び中段「けやき」部分は、下段「KEYAKI BEEF TONGUE」部分及び本願図形部分2から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、これを分離して理解・把握すると認められる。

 さらに、「牛たん」の文字部分と「けやき」の文字部分は、二段に配され、「けやき」は、「牛たん」に比して大きめの文字で表記されているため、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者は、「けやき」の文字部分を分離して理解・把握するといえる。

 そして、「けやき」の文字部分は、ニレの落葉高木であるケヤキ(以下「本件樹木」という。)の名称として知られるものあり(甲7)、本願商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを本願商標の要部として、当該部分を引用商標と比較して商標の類否を判断することも許される。一方、「KEYAKI BEEF TONGUE」の文字部分及び本件図形部分2の「欅」の文字部分は、上記のとおり、取引者、需要者が、注意深く観察しなければ読み取ることが困難であるから、独立した出所識別標識としての機能を果たすとはいえず、本願商標の要部にはなり得ない。

……引用商標のうち、引用文字部分と、引用図形部分とは、視覚上、上下に重なることなく配置されていることに加え、上側の引用図形部分は図形、下側の引用文字部分は文字であるから、商標全体としての構成上の一体性が希薄で、取引者、需要者は両者を分離して理解・把握すると認められる。

 また、引用文字部分のうち、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分に比して、顕著に大きく、明瞭に識別することができるように表示されている。

 これに対し、「JAPANESE」「CUISINE」の文字は、取引者、需要者が注意深く観察しなければ読み取ることが困難である。そうすると、引用文字部分のうち「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、「JAPANESE」「CUISINE」の文字部分から独立して見る者の注意をひくように構成されているということができ、両者の構成上の一体性は希薄で、取引者、需要者はこれを分離して理解・把握すると認められる。

 加えて、「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、前記アで述べたとおり、本件樹木の名称として知られるものであり、引用商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係において、出所識別標識としての機能を一定程度有しているから、同構成部分が独立した出所識別標識としての機能を果たすと考えられ、これを引用商標の要部として、当該部分を本願商標と比較して商標の類否を判断することも許される。

(4) 本願商標と引用商標の類否

……本願商標の「けやき」との文字部分は、前記(3)アで述べたとおり、出所識別標識としての機能を一定程度有しているといえる。一方、証拠(甲10~12)によれば、全国の飲食店が掲載されている飲食店検索サイトにおいて、キーワード「けやき」で検索した場合には2648件、キーワード「ケヤキ」で検索した場合には289件の飲食店が該当すると認められ、全国において、本件樹木の名称を指す店名(「欅」「けや木」「KEYAKI」等)を付した飲食店は相当数存在することが認められる。そうすると、本件樹木の名称は、飲食店の店名に比較的よく使用されるものとして、取引者、需要者に知られているものと推認されるから、指定役務である「飲食物の提供」との関係において、「けやき」の文字部分の出所識別標識としての機能は弱いものと言わざるを得ない。

 そして、本願商標の「けやき」の文字は、線同士が交差する部分の一部に空白を設けた特徴のあるデザインのひらがな3文字で構成されるのに対し、引用商標の要部である「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分は、欧文字6文字及び筆書き風の漢字1文字で構成されており、両者は構成する文字数、文字の種類及びデザインが異なるから、外観において明らかに相違する。

 したがって、本願商標と引用商標の類否を判断するに当たっては、本願商標の「けやき」の文字部分以外の構成部分も考慮した上で、本願商標と引用商標が、全体として、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かを検討する必要がある。

イ 本願商標の「けやき」の文字部分と、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分の外観が相違することは、上記ア()で述べたとおりである。

 次に、本願商標の「けやき」の文字部分からは、「ケヤキ」の称呼を生じるのに対し、引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からも、「ケヤキ」の称呼を生じ、称呼においては、いずれも同一である。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」の文字部分も勘案すれば、本願商標からは、「ケヤキ」のほか、「ギュウタンケヤキ」との称呼も生じ、この称呼については、「ギュウタン」との音の有無によって引用商標とは語感が異なるから、称呼において相違するといえる。

 さらに、本願商標の「けやき」の文字部分並びに引用商標の「KEYAKI」の文字部分及び「けやきの漢字」部分からは、いずれも本件樹木の観念を生じる。ただし、本願商標の他の構成部分である「牛たん」との文字部分も勘案すれば、本件樹木のほか、「牛たんを提供するけやきという名称の飲食店」との観念も生じ、この観念については、引用商標と相違する。

ウ 以上を踏まえて、本件商標と引用商標の類否について検討するに、 本願商標と引用商標は、外観において異なることに加え、本願商標から生じる2つの称呼及び観念のうち一方は、引用商標と異なる。これらを総合すると、取引者、需要者の認識において、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本願商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。

(5) 小括

 以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標ではなく、商標法4条1項11号に該当しないから、本件審決には取消事由がある。

           知的財産高等裁判所第4部

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