役に立つ特許は当たり前じゃあないかと謂われる発明
下記の事例は斯の程度の発明でも特許出願したフィリップモリス社の知恵の賜物と宇高は考えてます。
フィリップモリス社が所有する加熱式タバコの特許第6125008号の権利は下記の内容です。
【請求項1】
エアロゾル発生装置におけるエアロゾルの発生を制御する方法であって、前記装置は、
エアロゾル形成体を含むエアロゾル形成基材を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素を含むヒータと、
前記加熱要素に電力を供給するための電源と、
を備え、
前記方法は、
前記加熱要素に供給される前記電力を、前記装置を動作させた直後の第1段階において前記加熱要素の温度が初期温度から第1の温度に上昇するように電力が前記少なくとも1つの加熱要素に供給され、第2段階において前記加熱要素の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度に低下するが、前記エアロゾル形成体の揮発温度より低くならないように電力が供給され、第3段階において前記加熱要素の温度が前記第2の温度より高い第3の温度に上昇するように電力が供給されるよう制御するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
要約すると、
タバコ吸い始め開始時は、加熱温度を急激に高くし、
タバコが吸えるようになると加熱温度を低くし、
終わり近くになると加熱温度を再度高くするものです。
これは当然です。
早く吸いたいから、加熱温度を高くして揮発成分を速やかに揮発させます。
吸えるようになると、そのままの高い温度だと、揮発成分が短時間で揮発して無くなってしまうので、長時間に亘って吸う為には、加熱温度を下げる必要が有ります。下げても予熱されているから揮発成分は揮発します。
吸い終わり近くになると、揮発成分が少なくなっているので、加熱温度を高くして、強制的に全てを揮発させます。
こうすると、効率よく、かつ、無駄なくタバコが吸えるようになります。
是は当たり前の技術と言えば当たり前
この程度で特許?と言いたくなるのは当然でしょう。
ライバル会社は特許無効を請求して争いましたが負けました。
フィリップモリス社は東京地裁に訴えを提起(令和2年(ワ)第4331号特許権侵害行為差止請求事件および令和2年(ワ)第4332号特許権侵害行為差止請求事件)しました。
一審で負けた被告は知財高裁に控訴(令和3年(ネ)第10072号特許権侵害行為差止請求控訴事件、令和4年(ネ)第10073号および同年(ネ)第10096号特許権侵害行為差止請求控訴事件)しました。
最終的に、令和4年5月13日、令和5年3月23日判決言渡で、控訴審でも、フィリップモリス社の勝訴です。
フィリップモリス社のMarlbro(Man Always Remember Love Because Of Romance Over)の箱にはモットー「veni-vidi-vici(来た、見た、勝った):ポントスに勝利した際に、カエサルがローマ元老院に送った際の報告」が表示されております。今回の事件もモットー通りだったようです。