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二重瞼(ふたえ瞼)特許権(特許第3277180号)侵害訴訟事件

平成30年()第4329号 損害賠償等請求事件(第1事件)

     同第23514号 損害賠償等請求事件(第2事件)

特許第3277180号

【請求項1】延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材に、粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用テープ。

【請求項9】延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した糸状部材に粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用糸。 

 出願時のクレイム
【請求項1】弾性的に伸縮する細いテープ状部材に粘着剤を塗着することにより構成した
二重瞼形成用テープ。
【請求項2】上記テープ状部材を、延伸可能でその延伸後に弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した請求項1の二重瞼形成用テープ。

上記図は特許発明になる二重瞼形成用テープを延伸して二重瞼を形成する為の図

上記写真は特許権者・株式会社アーツブレインズが販売の二重瞼形成用テープです。

平成30年()第4329号   損害賠償等請求事件(第1事件)

      同第23514号 損害賠償等請求事件(第2事件)

                           令和4年3月18日判決言
            
  第1事件・第2事件原告 株式会社アーツブレインズ
                 
  第1事件被告 株式会社フィートジャパン
                 
  第2事件被告 株式会社センティリオン
  
              判   決
1 被告フィートジャパンは、原告に対し、1億6000万円並びに…同割合による金員を支払え。
2 被告センティリオンは、原告に対し、7715万0014円及び…年5分の割合による金員を支払え。

1 被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか
(1) 争点1-1(構成要件Aの充足性)について
 (原告の主張)
 ア 被告各製品のテープ状部材が「弾性的な伸縮性」を備えるか
 ()  弾性的な伸縮性」の解釈
 a 本件特許に係る審決取消請求事件における判決(甲9。知的財産高等裁判所平成27年(行ケ)第10242号同28年9月20日判決。以下「別件審決取消訴訟判決」という。)では、本件発明の要旨について、「延伸させたテープ状部材の収縮力によりテープ状部材を瞼に食い込ませて二重瞼を形成する発明」と認定されたところ、「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂」という構成は、本件発明の要旨を実現するためのものである。  そして、本件明細書には、「引っ張った状態にあるテープ状部材が弾性的に縮むが、本来、瞼はその両側に比して中央部が眼球に沿って前方に突出しているので、弾性的に縮んだテープ状部材がそれを貼り付けた瞼にくい込む状態になって、二重瞼のひだが形成される。」…等の記載からすると、本件発明において、テープ状部材の弾性的な収縮力が瞼に作用した結果、テープ状部材が瞼に食い込んだ状態、すなわち、テープ状部材の収縮力とテープ状部材を貼り付ける前の元の瞼の状態に戻そうとする当該瞼の弾発力が釣り合った状態になれば足りることは明らかである。……

 被告らは、被告製品B6のテープ状部材は、中央に非伸縮性の細いテープ状部材が貼り合わされているから、延伸しないと主張する。

 しかし、被告製品B6のテープ状部材の中央にある短いテープ片は、延伸後も伸縮性を有する長いテープ片の中央の一部分に貼着したものにすぎず、前記ア()のとおり、このテープ状部材自体、延伸可能なものであるから、上記主張は理由がない。
 ウ 小括
 以上によれば、被告各製品は、「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」(構成要件A)を充足する。

 (被告らの主張)
 ア 被告各製品のテープ状部材が「弾性的な伸縮性」を備えるか……
ウ 小括
 以上によれば、被告各製品は、「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」(構成要件A)を充足しない。

  さて、本件訴訟において、被告製品は、「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」を満たしていると判断されました。
 又、「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂」という構成は、本件発明の要旨を実現するためのものであると判断されました。

  ところで、宇高が、特許権者・株式会社アーツブレインズが販売の二重瞼形成用テープを購入して、「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂」が、果たして、二重瞼形成に必須の要件なのか否かを確かめてみました。 

 上記写真は特許権者・株式会社アーツブレインズが販売の二重瞼形成用テープです。このテープの素材は、特許公報ではポリエチレンですが、市販品ではシリコンゴムでした。シリコンゴムは、延伸後でも、引張力を開放すると、弾性によって復原する素材であろうと思われました。
 しかし、上記シリコンゴム製のテープ(又は、糸状部材)は、写真から判る通り、伸びたままでした。
 上記写真の上段は延伸前の二重瞼形成用テープ(長さは3cm)です。
 上記写真の下段は延伸後の二重瞼形成用テープです。
 二重瞼を形成する為に、テープを3cm(瞼の長さ程度)延伸させても、延伸後にはテープが復原しておりません。

 すなわち、特許権者・株式会社アーツブレインズの製品(二重瞼形成用テープ)でも、本件特許発明の必須構成要件「延伸後にも弾性的な伸縮性を有する」を欠いています。
 
本件特許発明の必須構成要件「延伸後にも弾性的な伸縮性を有する」を欠いていても、二重瞼が形成できております。
 弾性的な伸縮性を有さない素材の糸を瞼に押し付けても、瞼に食い込み、二重瞼のひだが形成されました。

 と言う事は、二重瞼が形成できた被告製品にあっても、本件特許発明の必須構成要件「延伸後にも弾性的な伸縮性を有する」を満たしていなかったのではなかろうか?

 被告による「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する合成樹脂により形成した細いテープ状部材」(構成要件A)を充足しないは、被告側の立証不足だったのではなかろうか。 

 そもそも、本件発明の必須構成要件「延伸後にも弾性的な伸縮性を有する」の意味は何だったのだろうか?
 更に、「延伸後にも弾性的な伸縮性を有する」は、そもそも、不明瞭な記載ではなかったのか?

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