〒101-0025 東京都千代田区 神田佐久間町1-14 第二東ビル
No.2 Azuma bldg. , 14, kandasakumacho 1-chome, Chiyoda-ku,Tokyo,JAPAN

お気軽にお問合せ・ご相談ください
03-3255-6746
定休日
土曜・日曜・祝日

令和7年(ネ)第10074号特許権侵害差止請求控訴事件

未だ雪が残っているだろうと思ってアイゼンを持って11-12日に那須・茶臼岳に行って来ました。尤も強風(20-30m/s)で登山指数がCの予報でしたので、頂上までは無理だろうと予想はしておりました。11日はロープウェイが動いてましたが、12日は中止でした。両日共に強風を除けば空も真っ青な快晴で、雪の照り返しも有って日焼けするようでした。樹林帯を抜けた頃から風が強いので諦めて下山し、温泉に浸かる楽しい休日でした。

下記左上の図が侵害者側のシステムを示す説明図です。
下記
右側の図が特許第5931837号の特許権の内容を示す説明図です。

病院において処方された薬剤を調剤薬局で購入する為、患者(利用者)は、当該病院が発行した処方箋を当該薬局に持参する必要がある。薬剤を調製する作業(調剤作業)は、利用者が処方箋を薬局に持参した後に開始される。この為、利用者は、調剤作業が完了するまで薬局で待たなければならない。

近年では、スマートフォンやタブレット等の端末を利用して飲食店等の店舗における予約をすることが可能な仕組みが提案されているが、当該端末を利用して調剤の受付(つまり、予約)を行う仕組みについては知られていない。

そこで、本発明(特許第5931837号)の目的は、処方箋を店舗に持参することなく調剤の予約を行うことが可能な予約管理装置、予約管理システム、予約管理方法及び予約管理プログラムを提供することにある。

特許第5931837号

【請求項1】
 利用者によって利用される利用者端末及び画像データを用紙に印刷することが可能な画像印刷装置と通信可能に接続される予約管理装置において、
 前記利用者に対して発行された処方箋の画像データを前記利用者端末から受信する受信手段と、
 前記受信された画像データを店舗に設置された店舗端末に送信することによって当該画像データを前記店舗端末に表示する表示処理手段と、
 前記画像データが表示された前記店舗端末を利用する利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する送信手段と
を具備する予約管理装置。

【請求項2】
 前記画像印刷装置は、ファクシミリ装置を含み、
 前記送信手段は、前記受信された画像データをファクシミリ通信によって送信する
請求項1の予約管理装置。

【請求項7】
 利用者によって利用される利用者端末と、当該利用者端末及び画像データを用紙に印刷することが可能な画像印刷装置と通信可能に接続される予約管理装置とを備える予約管理システムにおいて、
 前記利用者端末は、前記利用者に対して発行された処方箋の画像データを前記予約管理装置に送信する送信手段を含み
 前記予約管理装置は、
  前記送信された画像データを受信する受信手段と、
  前記受信された画像データを店舗に設置された店舗端末に送信することによって当該画像データを前記店舗端末に表示する表示処理手段と、
  前記画像データが表示された前記店舗端末を利用する利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する送信手段(構成要件7C-3)と
を含む予約管理システム。

【請求項8】
 利用者によって利用される利用者端末及び画像データを用紙に印刷することが可能な画像印刷装置と通信可能に接続される予約管理装置が実行する予約管理方法であって、
 前記利用者に対して発行された処方箋の画像データを前記利用者端末から受信するステップと、
 前記受信された画像データを店舗に設置された店舗端末に送信することによって当該画像データを前記店舗端末に表示するステップと、
 前記画像データが表示された前回店舗端末を利用する利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信するステップ(構成要件8D)と
を具備する予約管理方法。

【請求項9】
 利用者によって利用される利用者端末及び画像データを用紙に印刷することが可能な画像印刷装置と通信可能に接続される予約管理装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
 前記コンピュータに、
  前記利用者に対して発行された処方箋の画像データを前記利用者端末から受信するステップと、
  前記受信された画像データを店舗に設置された店舗端末に送信することによって当該画像データを前記店舗端末に表示するステップと、
  前記画像データが表示された前記店舗端末を利用する利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信するステップと
を実行させるための予約管理プログラム。 

令和7年(ネ)第10074号 特許権侵害差止請求控訴事件

(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第70283号)

主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 訴訟費用は控訴人の負担とする。 

事実及び理由

第2 事案の概要

1 本件は、発明の名称を「予約管理装置、予約管理システム、予約管理方法及び予約管理プログラム」とする特許第5931837号の特許に係る特許権を有する控訴人が被告製品は請求項7,8の発明の技術的範囲に属することから、本件特許権の侵害に当たると主張して、被控訴人に対し、被告行為の差し止め及び損害賠償金の支払いを求めた事案である。

原審は、被告製品及び被告方法(被告システム)が、本件発明7,8の構成要件7C-3及び8Dを充足せず、また、均等侵害も成立しないことから、本件各発明の技術的範囲に属さないとして、控訴人の請求をいずれも棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴した。

……

3 当審における控訴人の補充主張
(1) 本件各発明における課題解決手段は、処方箋の画像データを画像印刷装置に送信するタイミングを、当該画像データが表示された店舗端末に対する操作がされたタイミングとすることである。この構成により、処方箋を店舗に持参することなく調剤の予約を行うことができるとともに、画像データを画像印刷装置に送信した後に店舗端末の利用者(店舗スタッフ)が処方箋画像データに記載される文字等の内容を確認、判読することができず、調製作業を行うことができないといった事態を回避できるという顕著な作用効果を奏する。よって、このタイミングこそが本件各発明の本質的部分であり、画像データがどの装置から画像印刷装置に送信されるのかは意味をなさない。
(2) 上記(1)の通り、本件各発明の本質的部分が上記のタイミングであることからすれば、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する」(構成要件7C-3、8D)は、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを予約管理装置とは異なる装置から前記画像印刷装置に送信する」ことを含むと解釈される。
 被告システムにおいて、サーバ(予約管理装置)は、患者端末(利用者端末)から処方箋の画像データを受信し、患者端末(利用者端末)から受信された処方箋の画像データを薬局端末(店舗端末)に表示し、当該画像データが表示された薬局端末(店舗端末)に対する印刷実行ボタンの押下(操作)に応じて画像データを薬局端末(予約管理装置とは異なる装置)からプリンタ(画像印刷装置)に送信する構成を有する。
 よって、被告システムは、本件各発明における「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを(予約管理装置とは異なる装置から)前記画像印刷装置に送信する」ことを備えるから、構成要件7C-3及び8Dを充足する。
(3) 上記(1)の通り、本件各発明の本質的部分が上記のタイミングであることからすれば、構成要件7C-3の「前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する送信手段」について、構成要件7C-3では予約管理装置が当該送信手段を含むのに対し、被告製品では薬局端末が当該送信手段を含む点で異なるところ、この部分は本質的部分ではない。構成要件8Dの「前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信するステップ」について、構成要件8Dでは予約管理装置が実行するのに対し、被告方法では薬局端末が実行する点で異なるところ、この部分は本質的部分ではない。よって、本件各発明と被告システムとの異なる部分は、本件各発明の本質的部分ではないから、均等の第1要件を充足する。

第3 当裁判所の判断
1 当審も、原審と同様の理由により、被告システムが本件各発明の技術的範囲に属さず、控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は、後記2の通り、当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3(39頁26行目~52頁26行目)に記載の通りであるから、これを引用する。
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
(1) 控訴人は、本件各発明における課題解決手段は、処方箋の画像データを画像印刷装置に送信するタイミングを、当該画像データが表示された店舗端末に対する操作がされたタイミングとすることであるから、このタイミングこそが本件各発明の本質的部分であると主張する。
 しかし、引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3の5(2)に判示した通り、店舗端末の操作を契機として画像データが予約管理装置から画像印刷装置に送信されるという構成が本件各発明の本質的部分であるから、控訴人が主張するタイミングのみが本件各発明の本質的部分であるということは出来ない。
(2) 控訴人は、本件各発明の本質的部分が上記のタイミングであることを根拠として、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する」(構成要件7C-3、8D)ことは、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを予約管理装置とは異なる装置から前記画像印刷装置に送信する」ことを含むと主張する。
 しかし、控訴人が主張するタイミングのみが本件各発明の本質的部分であるということは出来ないことは上記説示の通りである。「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する」主体が予約管理装置であることは、本件各発明の構成要件の記載から明らかであるから、予約管理装置からの送信という点を捨象して、前記構成要件(構成要件7C-3、8D)が「受信された画像データを予約管理装置とは異なる装置から画像印刷装置に送信する」ことを含むと解することは出来ない。
(3) 控訴人は、本件各発明と被告システムとの異なる部分は、本件各発明の本質的部分ではないから、均等の第1要件を充足すると主張する。
 しかし、上記(1)に判示した通り、店舗端末の操作を契機として画像データが予約管理装置から画像印刷装置に送信されるという構成が本件各発明の本質的部分であるところ、被告システムは、この本質的部分をその要素とする本件各発明の構成要件7C-3及び8Dの発明特定事項を備えていないから、均等の第1要件を充足するとはいえない。

3 結論
 以上によると、控訴人のその余の主張を判断するまでもなく、控訴人の請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文の通り判決する。
               知的財産高等裁判所第1部 

【宇高の感想】
 宇高は東京地裁並びに知財高裁の判断に同意である。
 被告の薬局システムと特許第5931837号の薬局システムは上記図の通りである。
 被告の薬局システムは、店舗端末が処方箋画像データを受信すると、斯の受信した処方箋画像データを店舗端末がプリンタに印刷させるシステムである。
 宇高が、本件特許明細書ならびにクレイムを読んだ時点で、
 「予約管理装置(サーバ)」が、
  「受信された処方箋画像データを店舗に設置された店舗端末に送信することによって当該画像データを前記店舗端末に表示する表示処理手段」
  「処方箋画像データが表示された店舗端末を利用する利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを画像印刷装置に送信する送信手段」
を、何故、備えなければならないのか理解でき難かった。

 「予約管理装置」は「受信した処方箋画像データを店舗に設置された店舗端末に送信する手段」を具備するのみで、
 店舗端末が、受信した処方箋画像データを「表示する表示手段」と「印刷する印刷手段」とを備えておれば、本件特許発明の内容でなくても本願発明が解決しようとした課題を解決できると気付くのが普通ではなかろうか?

 寧ろ、特許第5931837号発明では、インターネットが「前記受信された画像データを店舗に設置された店舗端末に送信することによって当該画像データを前記店舗端末に表示するステップ」と「前記画像データが表示された前回店舗端末を利用する利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信するステップ」との間で通信不能になると、この時点で特許第5931837号発明を利用できなくなるが、被告システムでは利用できる。しかも、被告システムの方が簡単であると思うが…。

 店舗端末は既に処方箋画像データを受信しているのであるから、受信済の処方箋画像データを受信と同時に(又は、前記データを店舗スタッフが目を通した後で)印刷しても良いのではと言う事に気付かなかったのであろうか?

 尤も、ビジネスモデル特許は想像を拡げると際限がなく、明細書を纏め切れ難い、かつ、特許性が低下するであろう難点が有るので、仕方がないのかも知れないが…。 

 しかし、宇高は被告も被告システムの発明を出願しておくべきであったと考える。
 被告は似たシステムだから特許にならないと思ったのかも知れないが、そうすると均等論による侵害を心配せざるを得ないであろう。
 被告が被告システムの優位性に気付いたならば特許は成立したであろう。
 均等論による侵害の恐れも無くなったであろう。
 是は何もビジネスモデル特許に限られない。

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-3255-6746
定休日
土曜・日曜・祝日

お気軽に
お問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

03-3255-6746

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2025/08/25
ホームページを公開しました
2025/08/22
「サービスのご案内」ページを更新しました
2025/08/21
「事務所概要」ページを作成しました

弁理士法人
来知国際特許事務所

住所

〒101-0025 東京都千代田区 神田佐久間町1-14 第二東ビル

定休日

土曜・日曜・祝日